
2時間半の長さを感じさせない作品。挑発的な手紙や暗号文を送ってくる連続殺人鬼に対して、最初は暗号文の解読や犯人探しという部分で観客を夢中にさせ、やがて、それらにとり憑かれていく人々の、人生全般の描写を味わわせてくれて、非常に面白い。
単なる興味本位になりがちな犯人探しも、それで人生を狂わせられた人々のことを思うと…
「人生を狂わせられた」…それは、殺害された人々や遺族・関係者は言うに及ばず、殺人事件に魅せられでもしたかのように、生活の全てを支配されてしまう人々も同様。
暗号文がやたらと強調されているけれど、その謎解き自体にはあまり意味が無かったんだね、とか。
色々なこと、一筋縄ではいかないわけよ。それが人生なの。
そして又、俳優陣が素晴らしい。ロバート・ダウニーJr.、あれ、演技じゃないでしょ?ジェイク・ギレンホール、何でもない市井の人をやらせたら出色だよね。マーク・ラファロ、才気溢れる実直な刑事の役がはまり過ぎ!!(この人「イン・ザ・カット」の人なのね。いつも刑事なんだ(笑)。いや、今までで一番いい役だったと思うよ。)
そしてラストの余韻は、実際の事件に基づいて作られた作品ならでは。
人生なんて、常に不可解で不条理なものだから。解答が判ることなんて、本当は滅多に無いことなのかもしれない。
★★★★★
満点★5つ
「ゾディアック」の映画詳細、映画館情報はこちら >>
(2007年洋画)