いわゆる、ロッキーに第1作目から夢中になっていた世代が、正に私の夫です。この「ロッキー・ザ・ファイナル」が公開されるという情報を知るや否や、
「試写会当てて来い」
とのたまった彼。
一生懸命努力して、ええ、当てました、試写会。
夫の前に試写状を差し出し、
「当てたよ、一緒に行こうか」と言うと、
何と夫は、
「悪いけどこの作品は一人で観たい」
と言いやがった!
失礼しちゃう、ホントに、もう!
ええ、ええ、判りますとも、気持ちはよ~く。
確かに、結婚する前、「ロッキーは観た方がいいよ!」と強く勧められて、一緒にビデオ鑑賞したものの(彼にとってはそれが数十回目?)、
私にとってはフツーの映画。
ロッキーが生卵を割って飲むシーンと、「エイドリア~ン」と咽び叫ぶ所しか、はっきり言って印象に残っていません。
そんな私と「ロッキー・ザ・ファイナル」を観るよりも、一人で心行くまで観た方がいいに決まっている。
だから、笑顔で送り出しましたさ。
だけど、ちょっと悔しかったので、その後一人で観てきました。
で、前振りが長かったのですが、
う~ん、この作品…
夫が一人で観たがった気持ちが判る!
世間一般の御伽噺は、成功してめでたしめでたしで終わるもの。その後のことなんか、ま、知っちゃいない訳です。
でも、これはロッキー・バルモアの、人生中盤以降の「その後のお話」。
これが、人生中盤に差し掛かった(越えた?)世代には効くんです!
たとえメイン・イベントが終わっても、その後の人生はまだまだ続く、ということ。
そしてそれにどのように立ち向かっていくかというのが、その人の人生の核を決めるのだ、ということ。
ロッキーが息子に真正面から諭した
「人生ほど重いパンチは無い」
これは、人生にまじめに取り組んだ人間だけが言い得る言葉。
夫が暗い会場の中で滂沱の涙を流した、と言っていたのが納得の作品でした。
余談ですが…
まだ幼い私達の長男は、優しくて正義感の溢れる子供だけれど、気が弱くて、しかも最近周囲に流されることが多くなってきています。
恐らく夫は、この作品でのロッキーの息子を自身の長男に置き換えて鑑賞しまったのではないかな?(勿論夫にはロッキーのように世界チャンプの功績なんか無いんだけどね)
父よ、正しくあれ、強くあれ、とも言っているような気がしました。
そうして、勿論私もラストの復活トレーニングからエキシビジョン・マッチに至るシーン、そして驚異の15Rには涙したのでした。
「ロッキー」第1作目では、泣かなかった私でも。
★★★★★
夫に敬意を表して★ひとつ追加です。
(満点★5つ)
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(2007年洋画)