ま、言っちゃぁ悪趣味な映画です。
謎の組織が行っている不思議なほどの大金が動く秘密の集会。
それは、究極のギャンブル。本物の人間を自分の手札とし、輪になってロシアン・ルーレットをさせ、手持ちの駒が生き残った段階で賭け主は大儲けする、という仕組み。
悪趣味かな、ぎりぎりの所かな、というので迷ったのですが、やっぱ、悪趣味でしょ、これ。
だからと言って、とてつもなくつまらなかった、とかそういうんじゃないの
。悪趣味も趣味のうち。
ヨーロッパの階級社会って、貧し人は結局貧しいままなんだよね。よっぽどのことが無い限り。
で、「よっぽどのこと」を求めて主人公のセバスチャンは、危険な場所に敢えて行く訳です。
そのヨーロッパの佇まいが、セバスチャンが屋根の修理をしている家の様子とか、飛び乗る駅の雰囲気とか、モノクロームの画面とあいまって、しん、と心に残ります。
でも、例えば何をしても貧しさから抜けられないその背景とか、ロシアンルーレットをやる羽目になって、逃げられない恐怖、でもお金が欲しいという心の動きの逡巡などが、もっと深く掘り下げられていたら、違う意味で面白い作品になったのではないでしょうか?
そして、ラストは全く救いが無い。
お金を家に送れたからまだ良い、というものではないでしょう。母は、お金よりも息子に戻ってきて欲しかったと思います。絶対に。お金よりもあなたがいればそれでいいのに。そのことを思うと、後味の悪さに救われません。
★★★
(満点★5つ)
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(2007年洋画)