「憎しみにくちづけ、愛に刺しちがえる。」がキャッチ・コピーの作品です。いいコピーだと思います。
![「女帝[エンペラー]」_c0118119_11472471.jpg](https://pds.exblog.jp/pds/1/200705/12/19/c0118119_11472471.jpg)
シェイクスピアの「ハムレット」をモチーフに、中国五代十国の時代を想定して描かれた作品ですので、古色蒼然として、重々しい作風になるのは道理。しかし、そこは「グリーン・ディスティニー」「PROMISE」の美術担当ティム・イップの力のなせる技、重厚な中にも華やかな時代絵巻が描かれています。
むしろ、昔の中国を描く時にありがちな、過度なきらびやかさが無く、暗い色調の中にも艶やかさがあって、この方が私は好きです。
巷では「飽き飽きした」と評されることもあるワイヤー・アクションも、ダニエル・ウーがやると何と優雅で美しいことか!
そう、「女が」とか「復讐が」とかいう凡庸な視点ではなく、ただただダニエル・ウーを筆頭とした、中華アクションの美しさを堪能しに行ったのでした(あ、これも凡庸な鑑賞の仕方よね)。
いや、勿論、チャン・ツィイーの美しさも見事でしたけどね。でも、彼女の場合、ジョウ・シュンに意地悪く勅命を下すあたりの表情なんかが際立って良かったので(笑)、「あー、こいつやっぱ結構なタマだよなぁ」と思わせてしまう訳なのよ。美しさを素直に称賛できなくてごめんね(笑)。
役者陣はどの人もこぞって良かったです。
っていうか、私が好きな俳優・女優が揃い踏みだったせいもあるけど。
グォ・ヨウは、いいね。「イノセント・ワールド 天下無賊」でも上手いなぁ、と思ったけど、今回はチャン・ツィイーの色香に翻弄される愚帝を存在感たっぷりに演じていました。普通、あの役どころって霞んじゃうものだけど、彼は正に一主役を担っておりました。
ジョウ・シュンってさ、古くは「ハリウッド・ホンコン」、最近では「ウィンター・ソング」でヒロインを張った女優さんなんだよね!「ハリウッド・ホンコン」は私の中でも生涯香港映画ベスト10に入るお気に入りの作品なので、こういうメジャー作品に出てもらえて嬉しいよ!ま、この「女帝[エンペラー]」では彼女の個性は活かしきれていないような気もするけど、可愛くて、純真にダニエル・ウーに恋をする設定が、あの永作博美似のフェイスにぴったりだったから、許そう。
それと、ダニエル・ウーは、やっぱり素敵!あのしなやかな体から繰り出す演武の数々。美しいよね~。
眼福、眼福。
でも、ストーリー展開から言うと、結局彼は何をしたかったのか、が不明。父の復讐についても最初からは積極的ではなかったし、チャン・ツィイーをどれほど求めているのかと思いきや、ジョウ・シュンの死に「あ、この人が心の恋人No.1だったの?」と思わせるほど取り乱すし。
ま、そーゆー優柔不断な所が又魅力的なのかしら…?(笑)
うっとり、やため息、が似つかわしい作品でした。残酷な一面もあるけどね。ま、古代中国てすから。
ところで、詔を伝える宦官って、「PROMISE」にも出ていた人じゃない?
★★★★
(満点星5つ)
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(2007年アジア映画)