貴公子の見た目の詐欺師。
主演のキム・ソンホがこういう設定なのだが、なかなかに面白かった。それは、ちょっと鼻持ちならない行動のこの若者を用いて、制作側が観客をミスリードしていく構成となっているからだろう。
お話としては、アジア映画にありがちな、貧しく幸薄い若者が一獲千金の話を金持ちから持ち込まれてそれに乗るも、その奥に隠されていた陰謀に巻き込まれるというものなのだが、そこに突然割って入ってきた身元不詳の男に翻弄される。どちらが敵でどちらが味方なのか。最後まで目が離せない展開な上に、ラストのどんでん返しはすっきりするし、エピローグには「いやお前それ詐欺の上前じゃん」と思いつつも、日本の鼠小僧の古典に慣れ親しんだ身としてはまあいいか、と和むのである。
韓国人とフィリピン人の混血が「コピノ」と呼ばれていて、その子供達用の施設があることも今回初めて知った。それには要因があり、コピノの多くが貧困に苦しめられているという現実も。フィリピンを訪れた韓国人がフィリピン人の女性を妊娠させるも、それを知らずに帰国するかまたは知っていても支援などせずに無視を決め込むか、といった行動をとるため、そしてフィリピン人の多くがカトリック教徒であるため堕胎をせずにそのまま子供を一人で産み育てるため、フィリピンでは万単位で多くのコピノが存在しているのだという。
本作のマルコ(カン・テジュ)はコピノであり、病気の母親を抱え、賭けボクシングのボクサーとして日銭を稼ぐ日々だった。ある時、ビジネスマン風の韓国人たちがマルコの元を訪れ、韓国に本当の父親がいて今病床で明日をも知れない状態なので、息子として韓国に会いに来て欲しい、とマルコを韓国に連れて行く。マルコは母親の手術代がどうしても必要だったので、自分を育ててくれたコピノの施設の館長とも相談して韓国へ出向くことを選んだのだ。
そしてそこから起こる怒涛の展開。韓国への空路で謎の若い男が絡んでくるのだが、その男(キム・ソンホ)はかの地に到着してからも出没する。そしてマルコの身柄を奪おうと狙っているのだ。激しいカーチェイスの果て、辿り着いた豪邸でも、マルコの身には想像もしていなかった危険が迫る…。
キム・ソンホ。なかなかイケメンだけど妖しくて狂気を孕んだキャラクターがぴったり似合っていて、良かった。マルコ役のカン・テジュも私は好き。荒唐無稽な展開なのにある種のリアルがあったのはこの人の表情や振る舞いにも起因している。肉体を鍛え上げたボクサーではあるが、ランでの追いつ追われつでは走り続けてそののち息が上がって足も縺れて…と、単純なヒーロー物・アクション物では描かれない生身の若者だったところがとても良かった。いやそりゃそうだよね。あんなに走って逃げまどえば、燃料切れするのは当たり前なのだもの。韓国の狭い路地の描写もリアル。
ということで、なかなか面白かった。監督は「新しき世界」のパク・フンジョン。
htmx.process($el));"
hx-trigger="click"
hx-target="#hx-like-count-post-33349747"
hx-vals='{"url":"https:\/\/tokokonats.exblog.jp\/33349747\/","__csrf_value":"fd95254d978ce244fdcaa1f20ad570edc0ff6fca44ca211fea0c1179b31801fa1d3f629680fdbeb9094486386b64426b5bd35c90e5cb838bfcda6f4386a733ad"}'
role="button"
class="xbg-like-btn-icon">