ファン・ビンビンの久方ぶりのスクリーン復帰作。そういえばそんなこともあったよなぁ、と思う件から5年以上経っているのか、と少し驚く。驚いたのはそれだけではなくて、本作は韓国の監督作品で制作は香港なのであるが、ファン・ビンビンが私には韓国人にしか見えなかった。演出の力というか、作風によって民族まで変わって見えるというのがちょっと衝撃だった。そして正直、「ファン・ビンビンの無駄遣い…」と思うところもあった。それは恐らく、彼女のこれまでの役柄とは違い、慎ましやかな耐え忍ぶ暗い感じの女性といったものが私には残念に映ったということだろう。
作品の内容の方は…導入部は良かった。空港の保安検査場で働くジン・シャ(ファン・ビンビン)は、韓国の永住権を得るために日々黙々と仕事をこなしていた。韓国人の夫は居るが、額に付いている目立つ傷が物語るように、DVに悩まされている感がある。ある日、保安検査をしていたところ、一人の緑色の髪の女(イ・ジュヨン)が怪しかったので上申するが、上司からは見過ごすように言われ、その女自身も「今日は搭乗しない」と言って立ち去ってしまった。
仕事を終えて空港の外に出たジン・シャの所に、その女がやって来る。そして、そこから彼女とジン・シャの奇妙で濃厚な関りが開始されるのだ。
謎や冒険心が満ちた導入部には引き込まれたが、それ以降は正直言って「なんじゃこりゃ」の連続であった。連続というのは語弊があって、「なんじゃこりゃ」の後に再び引き込まれるシーンが展開し、しばらくするとまた「なんじゃこりゃ」になる。それが総じて「なんじゃこりゃ」で終わってしまったのが私の鑑賞後であった。クライマックスに至るまでは韓国映画と香港映画の融合といった感じなのだが、これはいいの?…これでいいの?という感じ。全くつまらなかったという訳ではないが、何となく鼻につくというか、なのだ。ラストはかなり香港映画っぽかったような気もするが、そしてこう終わるしか道が無いという終わり方だったが、ジン・シャが髪を緑色に染める理由が判らないし…いや、緑色の髪の女の代わりに復讐という理由は判るんだけど(アジア人の象徴である黒髪を染めるのが反骨心と仮にするなら)それ今更やる?という感じで意味が判らないし…犬の登場も含めて安っぽい。あ、そうか、安っぽかったのか。安っぽい上にちょっと古臭い。安っぽい映画、古臭い映画は決して嫌いではないのだけれど、「ファン・ビンビンの復帰作」ということで意気込んで観に行った身には辛かった。
ひとつだけ理解・共感できたことは、彼女たちの旅路の根幹にも関わることなのであるが、許しを乞う必要が全くない立場の相手から「許す」と言われることの理不尽さ。「オトコ社会」に割と存在しているコレに蹂躙される気持ちは理解・共感できる(念のためだが自分の体験とかそういうのではない)。ただ、そこに少し宗教めいた部分もあるところがまた厳しいところである。
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