「今年観たけど書いていない」作品をさくさくと。
本作は面白かった。実は阿部サダヲのことを好きか?と聞かれると、そうでもない。アクが強いからだと思う。アクが強くても大好きな俳優は多々いるのだから、もう恐らくこれは単純に好みの問題だというほかないのだけどね。
HPを見ると、”「空飛ぶタイヤ」の本木克英監督はじめメインスタッフが大集結”と書いてあるので得心がいった。ああ、確かにね、と。で、「空飛ぶタイヤ」は好きなテイストだった。池井戸潤作品らしく社会問題に鋭く切り込む作品である。特に本作は池井戸潤が出自の銀行で起こる話なので、フィクションであってもリアルを感じさせる。
とある銀行の支店で起こった現金紛失事件。原因究明のため行員たちは真相を探るべく尽力するが、盗難であり内部犯行の線が濃かったため、互いを探りながら業務にあたることになる。
事件が起こったのは小さな支店である。それぞれの行員はそれぞれに癖があり、清廉潔白な銀行員としてだけでなく裏の顔を持つ者もいた。それらが個々にヴェールを剝がされていく過程が面白い。阿部サダヲはもとより、支店長の柳葉敏郎、副支店長の杉本哲太、支店エースの佐藤隆太、女性行員の上戸彩、同僚の玉森裕太、内部監査人の佐々木蔵之介…更にはクライアントの橋爪功、フィクサーの柄本明、みんながみんな、一癖も二癖もある人物であり(上戸彩と玉森裕太は除く)、人には言えない事情を抱えている者もいる。それを組織の裏の顔・内幕が云々、という視点ではなくて行員の人間性にフォーカスを当てている所が本作のミソである。
「お金」は人を狂わせることがままあるが、そもそも欲望に駆られる人間性そのものが元から狂っているのだよ、と言いたいのだろうか。とはいえ、生涯ズルを一度もせずに生きてきて大人になる人間は果たしてどれだけいるのだろう?同様に隠し事をしてこなかった人間は?本作の顛末は極端な話ではあるけれど、意外と不正というものは身近に起こり得ることなのかもしれず、その因果が巡り巡ることはある話かも、と思わせるのである。
(2023年邦画)
htmx.process($el));"
hx-trigger="click"
hx-target="#hx-like-count-post-33195514"
hx-vals='{"url":"https:\/\/tokokonats.exblog.jp\/33195514\/","__csrf_value":"92234bc105b6f7a6b0b83fcb92dac87ce693b3bca3296dae83a4869b82c14f2bf6fea9f471ef0fa7654a6376a20cdb8c0da45e9c11fd5d94bf2bf1e57f60594c"}'
role="button"
class="xbg-like-btn-icon">