冒頭で高校生の文化祭みたいなものを延々と見せられた時にはどうしようかと思った。だが、その後のChapter1以降は普通だったので気持ちは回復。
北村匠海と中川大志という、私にとってめっちゃ好きな俳優のダブル主演だったので鑑賞に赴く(とはいえ、本作の狂言回しの「私」は古川琴音である)。プラスもう一つの興味の要素は、どこかの紹介文で「Z世代の様相が云々…」と書かれていたことにある。「Z世代」ってまんまウチの2人の息子たちの世代なのだ。
(だが以前長男と話していた時に「厳密に言うと俺はギリZ世代ではない」と言われ、「いやそんなことないでしょ?だって阪神タイガースの佐藤輝明選手(長男と同い年)はホームランのパフォーマンスでベンチ前で『Z(ゼ〜ット)!』と見栄を切っていたじゃん?(今はしていません)」と言ったら「あれはももいろクローバーZのZだから」と言われ、思い込みというのはホントに間抜けな結果を生むよなぁ、と思った次第。)
で、本編に戻ると、内容自体はそんなに悪くなかった。まあありがちと言ったらありがちな訳だが、そんな「等身大」というのもたまには良いものだ。北村匠海と中川大志は相変わらず眼福だし、松岡茉優はその辺にいがちな嫌な女をとても自然に演じていた。まるで呼吸をするようだった。松岡茉優に放つ古川琴音の「意見求めてないから」の一言は痛快だったなぁ。20年前に自分の語彙に加えたかった。
しかし、鑑賞中私は作品そのものの内容というより、他のことに気を取られていた。今、定期的に新入社員を採用するような会社では、Z世代の早い離職に頭を悩ませているらしい。大金をかけて新卒採用しても、いとも簡単に辞めてしまうと。また、採用のみならず、彼らZ世代のパフォーマンスを引き出すことに苦慮しているケースがままあるという。これまでのやり方では彼らはついてこないというのだ。
それを現場の肌感覚というのではなく(ここ数年新入社員が直接配下にきたことがない)、映画を観た時に「あぁ…なるほど…」と思ってしまうのはどうかと思うけれど、確かにね、なるほどね、と思ってしまう部分が少なからず存在する展開だった。そしてタイトルの「スクロール」にも、共感ではなく納得したのであった。