正直に言うと、ここまで気分が悪くなる作品ってそうそう経験してこなかった。本当は「胸糞悪くなる」と書こうと思ったのだが、そしてその単語が相応しいと思うのだが、辛うじて踏み止まる。
いやもう言い切ろう。観ると胸糞が悪くなる。そして辛い。世界にはまだこういうことが沢山あるのだということが。
ロシアネガティブキャンペーン第一弾。昨年辺りから、ロシアネガティブキャンペーンに該当すると思われる作品はいくつかあったが、今年は更にその傾向は強まるように思う。本作に関して言えば、事の発端がロシアで始まった(正確に言うとポーランドの4歳の少女ウーラをロシア人が誘拐した)からそう言ってしまうのであるが、東欧の少女達が誘拐されて性奴隷として扱われる事がこんなにも多く存在するとは。たまたますごろくの振り出しがロシア人だったに過ぎない。そして彼らは国境を越えて、その「商売」を展開する。
最初にポーランドでウーラが誘拐された時、わずかな手遅れで犯人を取り逃してしまった刑事ロベルト(ピョートル・アダムチク)はその責任を感じ、何年もかけてウーラを探し続ける。そして10年以上の歳月をかけて、ロシアからウクライナ、モルドバ、タイへとウーラの足跡を追い続けるのである。
サスペンス仕立てになっている為、ぐいぐいと見せてくるし、次の展開を固唾を飲んで見守る構造にはなっているのだけれど、あまりに唾棄すべき内容で、本当に気持ちが悪い。そこに描かれるのは地上の地獄だ。
ロベルトの執念が帰結するその時、それに伴うロベルト自身の結末が待っている。ある意味ではハードボイルドなのであるが、そうでもなければ魂が解放されることは永遠に無いのであろう。
未体験ゾーンの映画たち2023にて鑑賞。