星アキラ(南翔太)は20年前にスタントマンだった父をスタントの事故で亡くし、その後残された母と2人で渡米してロサンゼルスでモトクロスのレーサーとなっていた。今帰国したのは、アメリカで母が亡くなったことを機に、20年前の恩讐を晴らすため。父を事故死に追いやった男大久保豪(高橋昌志)をスタントの技で叩きのめすため、スタントマンの世界に飛び込む。
スタントマンは絶滅危惧種…。作中に出てくるその言葉通り、CG全盛の今の業界では、アナログなスタントマンの生死を賭けたアクションは、前時代の遺物となっている感があるのだろう。
本作で藤堂仁(石黒賢)がアキラに、スタントマンになるための特訓を施す。バイクのスタント、カースタント…。そしていよいよ本番となる前に指示したのは、大掛かりなスタントを成功させるため、それに乗り込むまでの練習は、自分の得意分野の技を極めること。精神的に高みに居るという自信をつけるために豪なら水上バイク、アキラならモトクロスの練習を死ぬほど行うということだ。そのスタントシーンの練習を極める、ということでないのが興味深かった。これは一種の戦術なのだろうが、「最後は魂」的な考え方が昭和っぽくて、更には絶滅危惧種の所以とも言える感じがする。
恩讐は20年の時を経て、再び似たような巡り合わせがやってくる。「ジャンピング・ロール・オーバー・シー・ダイブ」。CG全盛の今では決してド派手な、とは言えないラストショットだが、逆にそれだけに染み入ってくるようなカットであった。
オマケ。
主役の彼は横浜DeNAベイスターズの田中健二郎投手に似ていると思った。田中健二郎も役者になっても味がある顔かも。
主役の南翔太

横浜DeNAベイスターズの田中健二郎投手
これで2022年に鑑賞した作品は、全作掲載終えました。来年もどうぞ宜しくお願いします。
(2022年邦画)