ヒロインの目力が凄い。
生まれついて耳が全く聞こえない若い女性ケイコ(岸井ゆきの)はプロボクサーである。リングに上がる時は勝つこともあるし負けることもある。彼女が世話になっているボクシングジムの会長(三浦友和)は、なにくれとなくケイコのことを気にかけてくれるが、ジムの老朽化や後継者問題などが重なり、ジムを畳む決断をする。その頃、ケイコ自身もこの先ボクシングを続けるかどうか迷っていた。というか、ちょっとボクシングをお休みしたいというのが率直な気持ちであった。そんな時、会長が病に倒れる…。
わざと偽悪的に書くと、ストーリーはこれだけである。たったこれだけなのに、その中身のなんと濃いことか!
ケイコの日常…早朝からの日々欠かさないロード、ジムでのトレーニング、ミット打ち、帰宅をしたらすぐに洗濯、テーピングは手洗いだ。食べていくためにホテルの清掃の仕事を続ける。聴覚障害者としての困難も、もちろん普通に存在する。
弟との同居生活。時々弟の恋人が家に遊びに来ている(この弟役の佐藤緋美と恋人役の中原ナナは「ムーンライト・シャドウ」でも恋人同志だったな!)。試合の時に上京してくる母は、ケイコの試合をまともに見られない。娘が殴られているところなんて。応援はするけれど…でも、いつまで続けるつもりなの?
ジムの仲間、コーチ、会長…だけでなく会長の妻(仙道敦子)…との関係。ボクシングを軸にした時間が過ぎる。だが、それも終わりを迎える日が来る。全てが永遠の物事など無い。それでも、荒川土手の朝景色は美しい。
これら全てがとても響く。ずしりとくる。ずしりとくるが、重た過ぎはしない。そして鑑賞中は、ケイコから直接パンチを繰り出されるような鋭さ、密度の濃さを感じる。
派手なことはひとつもないのに、無我夢中で、集中が欠けることなくラストまで鑑賞できた。これは突出した作品。傑作。
(2022年邦画)
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