予想していた結末だったけれど、納得がいかない。
書きたいことは幾つかあるのだけれど、まとめてしまうと「納得がいかない」の一語に尽きる。色々な問題を孕んだ作品である。兄弟間差別や男女差別を一度でも経験したことがある人なら鑑賞中にかなり様々な思いが胸を去来することだろう。それは作品に集中できない程に。
自分自身の過去ということだけでなく、私は子供たちを差別しないで育ててきただろうか。そんなつもりはなくても彼らのどちらかまたは両方に、そんなことを感じさせるような行動をしないでこれただろうか。そんな自問自答を心の中で繰り返す。
学費・生活費を全て自分で賄いながら、北京での大学院進学を目指すアン・ラン(チャン・ツイフォン)。ある日自動車事故で、離れて暮らしていた両親が突然死んでしまう。遺されたアンの元に、彼女が自立してから一度も一緒に暮らしたことがない弟ズーハンがやって来る。身寄りがないのは彼も同じ。アン・ランは幼い弟の養育をせざるを得なくなってしまった。
「自分の人生を生きたい。」それはヒロインの切実な願いである。たとえどんな背景があったとしても、それは不可侵だ。一方で、これが自分の人生なのだ、と半ば無理に思い込んでしまうこともある。ヒロインにはそうなって欲しくなくて、特にこれまでの彼女の境遇を考えると、「頑張れ」と心の中で呟いてしまうのだが…。
やっぱり納得がいかないんだなあ。人として正しい行いとか、温かい気持ちとか、そういうことを加味すれば、ハッピーエンドと言えるのだろうが、私には胸に石を詰められたような結末であった。
しかしなあ…高いポイントとして、間違いなく子役は激カワイイ。この可愛らしさはちょっとズルい。

(2022年アジア映画)