邦画もここまできたのか、と。いや、ヤクザ物が真骨頂の東映なら、当然ここまでくるはずだ。そういう意味では岡田准一ここまできたか、もっと言えばジャニーズここまできたか、なのである。そして、潜入捜査物を邦画がやるとはねぇ。強烈であり、爆裂である。
鑑賞してからだいぶ経ったのでかなり俯瞰で見ることができるようになったが、このテイストはやはり香港映画のテイストだなぁ。潜入捜査物という点だけでなく、裏切り裏切られそしてケジメの中に垣間見られる哀切。「荒唐無稽」という部分でもかなり香港映画のそれに近い。
元警官で、今は狂犬ヒットマンとして東鞘組の舎弟として活動している兼高(岡田准一)。彼がそうなったのには訳があった。昔、地域の交番巡査だった兼高(当時の名前出月梧郎)は、スーパーマーケットでアルバイトをしている女子高生に恋心を抱いていた。だが、彼女はスーパーマーケットの事務所に押し入って来た強盗に命を奪われてしまう。巡査として犯人を見逃していたかもしれないという悔恨と、燃える復讐心によって、彼は単身で処刑を敢行すべく動き出す。それに目をつけたのは警視庁の裏捜査を取り仕切る阿内(酒向芳)で、出月を兼高として東鞘組に潜入捜査官として送り込む。
よくよく冷静に考えてみたら、クライマックスからオチに至るまではマトリョーシカさながらで、えっ?そんなん…親亀の背中に子亀乗り過ぎじゃん…と思いはするものの、出演者全員が見事に芸達者なため、違和感は凌駕される。が、サイコパスに設定されている室岡秀喜(坂口健太郎)の方がむしろ、情のある常識的な男のように見える。それもそのはず、彼が闇堕ちしたのは、死刑囚の息子であるという自分ではどうにも変えられない出自が原因だと言えなくもないからだ。そうであっても真っ当に生きる手立てはあったはず、などとの優等生的な発言は見送りたい。いやぁ、それで言うなら吉佐恵美裏(松岡茉優)の象牙の密輸が許せない…の理由の方が、他に真っ当な手立てはあったと思うよ。元環境省のレンジャーか何かだったら尚更さぁ。(もとい通産省の何ちゃらだっけ?財務省税関だっけ?)
だがやはり、本作の注目点は岡田准一なのだ。男臭さと哀愁に満ち溢れていて結構良かった。何となく分類すると「インファナル・アフェア」のトニー・レオンの系統に属する。あそこまでの色気は求めてはいないけれど。彼の信念の発動理由もカッコいいし、手駒としてだけでなく東鞘会のキーマンとしてのし上がっていく様もカッコいい。そうか、やっぱりカッコいいということを全ての起点にするのなら、ジャニーズが本作に岡田准一を送り込むのも頷けるなぁ。
そして他の役者陣もとても良かった。私の好みから言えば良かったトップは熊沢役の吉原光夫。でも、金田哲もすっごくハマっていたし、MIYAVIはサイコーの部類に入る。北村一輝は文句なく好き。彼は息をするようにこういう役を演じられるんだな、流石。大竹しのぶの素晴らしさは言うまでもない。
登場人物の相関図を貼っておきます。
総合的に言って好みの作品である。荒唐無稽は荒唐無稽なんだけど、理屈ある荒唐無稽といった感じ。その「理屈」が許容範囲であるかないかによって好みは分かれるかもしれないが。

(2022年邦画)
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