「ファイブ・デビルズ」とは、架空の村の名前である。この村を舞台にしたタイムリープ・ホラー。タイムリープでありホラーなんだけど、何かそういうのとはちょっと違う作風である。不思議なテイスト。
多少ネタバレあります。
フランスの山側の片田舎で、ジョアンヌ(アデル・エグザルコブロス)はプールのコーチとして働いている。夫は消防士で、一人娘のヴィッキー(サリー・ドラメ)は地元の小学校に通っている。夫は有色人種なので、娘も黒人の特性を持った外見である。特に髪質からだと思われるが、同級生からはトイレモップと呼ばれてイジメの対象となっている。
ヴィッキーは、母親を愛してやまない。母親もヴィッキーのことをとても愛している。ヴィッキーは学校が終わってからは、母親の行く所どこにでもついて行く。母親が日課としている湖での寒中水泳で、寒さに耐え得る牛脂を身体に塗ってあげるのも彼女だし、20分のタイムを計って知らせるのも彼女だ。冷たい湖で20分以上泳ぐのは、低体温になって命の危険があるからだ。これはどちらも重要な役目である。
ヴィッキーには人とは違う能力があった。それは、嗅覚が人並み外れて鋭いということである。匂いの中でこれはと思ったものを集め、瓶に詰めて蓋をしラベリングをして保管している。松ぼっくりなどもある。いつも母親に塗ってあげている牛脂の手に付いた分は、「母の匂い」として日々貯めて大切に保管している。
そんな日常の中、父の妹にあたる叔母が突然やって来た。叔母ジュリア(スワラ・エマティ)はしばらく滞在することになったのだが、どうもこの村では訳ありの過去があったようで、彼女の帰郷はあまり歓迎されていない。歓迎していなかったのは、ジョアンヌもヴィッキーも同じで、ジョアンヌは夫に「耐えられない」と打ち明け(るような過去があったようで)、ヴィッキーは母親が取られてしまうような気持ちと同時に、ジュリアに何か怪しい危険なものを本能的に感じていたのだ。そして、ジュリアが持っていた瓶をこっそり頂戴し、中身の液体を混ぜ合わせその匂いを嗅いだ時に、ヴィッキーは気を失ってしまうのである。
ヴィッキーはその瞬間タイムリープをしてしまったのだ。時間と場所は、両親がまだもっと若かった時のファイブ・デビルズ。そこで彼女は、父母とジュリアの過去を目の当たりにすることになる。
質疑…これはオーラスの解釈についてなので、未見の方は読まないで頂きたいし、既にご鑑賞された方は応答してくださると嬉しいです。
1番ラストに出てきた黒人の少女についての私の解釈が正しいかどうか。解釈は2通り(①と②で、②には②´あり)ある。どちらが正しいのか、または両方とも正しくないのか。
ヴィッキーがタイムリープしたのは、自分がこの世に生まれくるための必然であり(または結果として自分がこの世に生まれくる形になったというか、それはどちらでも良い)、タイムリープした自らがジュリアの目に留まることによってジュリアの精神をかき乱すことに繋がったのであろう。それが叔母ジュリアと母ジョアンヌの破局の遠因となった。
となれば、
①本編中のとあるシーンで一度出てきて、オーラスでもヴィッキーの目の前に現れた「髪の毛を編み込んだ黒人の少女」は、やはりタイムリープしてきた別の少女で、ヴィッキーのその後の人生に大きな影響を与える予兆としての存在なのではないか。
②あるいは幼い頃の叔母ジュリアが(未来へと)タイムリープしてきて、ヴィッキーに何らかの予言をしているのか。②´「黒人の少女=幼い頃の叔母ジュリア」が正なのであれば、ジュリアはその後のヴィッキーに憑りついてヴィッキーの未来へ(悪意的な)影響を及ぼすのではないだろうか。そしてそれに気づいたヴィッキーが若い頃のジュリアを排除し…という終わらないメビウスの輪状態が形成される…?

(2022年洋画)
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