私は極端なフェミニストでもないし、逆にジェンダー至上主義でもない(だからといって中庸という訳でもないけど)。だが、この作品を真に理解して共感できるのは、産む性を持つ女性であると言いたい。キャンパスでの、寮での、そして実家でのアンヌ(アナマリア・バルトロメイ)の行動に、逐一胸が押し潰されそうになる。その理不尽さに共に怒りを感じる。そして「放っておいて」という気持ちも判る。
フランスで中絶が合法になったのは、1975年である。この事実を胸に刻まなければならない。何故このようにエキサイトして、かつ急いだ走り書きのように書いているかというと、本作の上映中イビキをかいて寝ているオヤジがいたからだ。イビキをかいて寝る!終始!である!「男性」とは書かず敢えて「オヤジ」と表記させていただく。よりによってこの作品で、オヤジがイビキだ。豆腐の角に頭をぶつけていただきたい。もうホント、本作のテーマに対する怒りが倍増しちゃったよ。

(2022年洋画)