さて…観てからだいぶ経ったけど、書こう。と思い立ってハタと気づいた。この作品の中身を全く覚えていなかったのだ。なんならジョニー・デップが出ていたことさえ忘れていた(これは嘘だけど)。
ロサンゼルスで起きた実在するラッパーの殺人事件について、未解決のそれを執念深く捜査する元刑事と、スクープとして取り上げる野心を持つ記者とが、当時の記録と謎を巡って動く。元刑事ラッセル・プールをジョニー・デップが、記者ジャックをフォレスト・ウィティカーが演じている。
実際に解決していない事件だから、犯人探しの末に待ち受けるカタルシスは無いし、動機を類推することもできないのだけれど、相応にドラマツルギーは存在している。しているとはいうものの、ぶっちゃけ25年前に(本作の設定では事件から17年後となっている)ロサンゼルスで起こったラッパーの殺人事件だ。もし私が当時ロサンゼルスに住んでいたら、或いは2パックとノートリアス・B.I.G.のことをエミネム以上に好きだったら、本作の設定は興味津々だったであろうが、うーん…というのが正直なところだった。その派手さの無さが逆に骨太で良い、とも言えるけれど。だが、「骨太」と「退屈」は実は共存しやすい。
つまり、足を靴の上から掻くような、もどかしさと物足りなさを感じた。全てが詳らかになりました、元刑事の執念が実りました、という展開が良かったとは一概に言えないが、それでもなんというか、それとは別に余韻のようなものが欲しかったなぁ。
(2022年洋画)