開始15分位で、もう劇場を出て帰ろうかと思った。こんな気持ちになったのは、久し振りである(大昔に某邦画「大河の〜」という作品で辟易としたことがあって、その時はラストシーンだけを観ずに劇場を出るというせめてもの抵抗をしたのであった)。何故今回15分で劇場を出なかったかというと、マイナス×マイナスがプラスになるように、キチガイ×キチガイが何かに昇華するのではないかと、淡い期待を抱いたからだ。
だが結局は、あ〜あ、という気持ちのまま観終わった。本作は、2021年の第74回カンヌ国際映画祭で最高賞のパルムドールに輝いたと言うが、私には全く理解できない。もう、見解の相違とかそういう生易しいものではない。繰り返すが、単なるキチガイなのである。幼い時の交通事故が原因で、頭にチタンを埋め込まれたヒロインのアレクシアも、アレクシアの逃避行を匿うことになるヴィンセントも。どっちもどっちなキチガイだ。そしてグロい。この手のグロさに耐性が無い自分に安堵する程グロい。いくつかのグロいシーンでは手で顔を覆って見ないようにしたという、私にしては珍しい行動を取ってしまった。
もうこれ以上論評するのはやめよう。いくらグロくても残酷でも、何かに落としどころや訴求ポイントがあればそれはそれで納得するのだけれど、それさえも私には見つけられなかった。モーターショータイプのストリップ会場だけは、サイケデリックな色調でエロチックで良かったかな。と、無理矢理捻り出してみる。

(2022年洋画)