韓国映画なのに、昭和な感じ。ベンチャーズの曲がそれに拍車をかけている。別にそれは嫌いではない。むしろノリノリだ。
「盗油」のお話。「盗油」ってピンとこなかったけれど、韓国では地下のパイプラインを通って石油が運ばれていく仕組みらしい。水が水道管を通って運ばれていくように、公社の管理下、石油会社の貯蔵庫に運ばれるということのようだ。
で、そのパイプラインの途中に穴を開けるなりして、石油を盗む話である。これは、実際の韓国でも起きていて、盗んだものをガソリンスタンドで売ったりして利益を得ている盗賊団が存在していたらしい。盗む過程で、溶接作業の影響による引火で爆発事故が実際に起こったこともあるという。盗みの発覚を恐れる以上に、生死に関わる犯罪である。
「盗油」の技術を持ったドリルの名手ピンドリ(ソ・イングク)は、ある大企業の若手役員ゴヌ(イ・スヒョク)から数千億ウォンの儲けとなる石油盗掘を依頼される。ゴヌが集めて来たメンバーは、溶接工のチョプセ(ウム・ムンソク)、元公務員のナ課長(ユ・スンモク)、塩田で働き続けて来た体力派のビッグショベル(テ・ハンホ)、そして採掘作業の拠点となるホテルで彼らを監視するカウンター(ペ・ダビン)であった。一丸となって事に当たらなければならないはずのピンドリたちであったが、ゴヌの策略や互いに対する牽制もあり、作業はトラブルを抱えながらの工程となる。
基本はお宝争奪戦のお話であり、犯罪者たちのスレスレの攻防が、コメディ調の部分もまぶされていて楽しい。どこか抜けた警官役のペ・ユラム、ピンドリたちの味方になる盗油詐欺師役のソ・ドンウォンなど、その他の登場人物たちも個性的だし、笑えるキャラクターである。クライマックスはお約束の展開ながら、気楽に楽しめるという点でも良いのではないかと思う。

(2022年アジア映画)
「昭和な感じ」は、エンドロールの登場人物の撮影シーン(?)のピックアップにも表れている。なんか楽しい。