意外と面白かった。「意外と」というのは、前評判があまり良くなかったのでそんなに期待しないで観に行ったからかもしれない。普段は前評判など全く見聞きしないで鑑賞するのが常なのだが、事前CMやパブリシティ量の多さに、公開後もかなりの頻度で前評判が入ってきてしまったので、このような事態に。邦画はこういうことが多々あるが、それは良し悪しだ。
ただ、やはり思うところはある。一部ネタバレなのだが(具体的な内容には触れていません)、オーラスにはちょっとがっかりした。オーラスでの田辺純(松山ケンイチ)のシーンで、一気に凡庸な作品に成り下がったと思う。何故若者の彼らが猪狩島に固執するのかなどが、過去の回想シーンも絡めて上手く説明されていたと思うのに、あのシーンで台無しになってしまったと私は思うのだ。
(そもそもこの狭い島内で、幼馴染で親友の田辺純の部屋を泉圭太(藤原竜也)が今まで一度も訪れたことがないなんて考えにくいし。)
それと、大筋の問題ではないので恐縮なのだが、伊勢湾に浮かぶ猪狩島なのであれば、やはり登場人物には関西弁を使って欲しかったよなぁ(伊勢湾近辺は名古屋弁よりは関西弁だと思う)。それが演技にどの程度影響を与えるのかは不明だけれど、特別な産業の無い過疎の島、という雰囲気が伝わってこない。ま、っていうかぶっちゃけ、黒いちじくの特産品よりも、これだけ空き家が増えて若者を含めた人々の流出が顕著なはずの島で、限られた存在の若者が3人も(ここ大事!1人とかではないのだ)レベルが高いイケメン(内2人も独身!)ということの方がずっと特別感があるのでは!?と下品なことを考えてしまった。いやだってさ、超絶イケメンなのよ、3人とも。
もちろん、この3人(藤原竜也、松山ケンイチ、神木隆之介)は演技もハイレベルなのだ。だからこそ「ある程度面白かった」という感想を持てたのかもしれない。藤原竜也のいつにない爽やか若者感、松山ケンイチの過剰にならない暗さと朴訥さ、神木隆之介の誠実だけれど小心者を示す仕草…これを鑑賞するだけでも楽しめる。そして、前半~後半までは結構コメディ要素がふんだんで、くすくす笑える。それなのにそれが緊迫したラストに繋がっていくのは、なかなか良いと思う。
余談だが、黒いちじくを知らない島外の人が黒いちじくを振る舞われて、実を割って中を見た時に漏れなく「グロテスク」だと評する所は、作り手の前とかそうでないとかに関わらず、だいぶ失礼な事だと思うよ。

(2022年邦画)
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