2022年に最初に観た作品が本作である。例年、1年の1番最初に観る作品をどれにするかは私にとってとても重要で、前年末からその儀式に備えてひたすら自分会議を行うのが常であった。だが、この2年で考えが変わった。観られる作品を観られる時に観る。1番目が2番目が、なんてどうでもいい。明日映画館がどうなってしまうかも判らないからだ。
それで、昨年の12月31日というかなり特異な日に公開されたこの作品を、観られる内に観ておきたいと思い、今年の最初の鑑賞作品とした。
HP等の作品紹介の冒頭にはこうある。
「東京・明大前で開かれた学生最後の退屈な飲み会に参加した“僕”は、そこで出会った“彼女”に一瞬で恋をする。」
その設定に該当するシーンを見て、ああ、そりゃこの飲み会の中での1番の美男美女だから勿論そうなるわなぁ。と、まず思う。そして話が進んでいく内に、これが邦画によくある難病モノになったら嫌だなぁと思い、更には彼女と自分の親友が実はデキてました、とかいうのでもかなり嫌な展開だなぁ、と考えながら観る。
だが、その予想は両方とも外れていた。ちょっと予想外の展開だった訳だが、その展開は壮大な後出しジャンケンによって構成されている。しかし、この壮大な後出しジャンケンが全然不愉快でなかったのは、北村匠海と井上佑貴の2人が素晴らしかったからだ。俳優としての2人も素晴らしかったし、新入社員研修で同席した2人が会社の波に揉まれながら、尊敬と友情を育んでいくのが素晴らしい。実に好感が持てる。
そうだよ、社会に出るってこういうことだし、はまった沼の中でもがくのもこういうことだ。望まない仕事をひたすらやるのも社会人だし、一方でここではないどこかに自分のやりがいを見出せるのでは?と思うのは若者の権利だ。破れた恋に自暴自棄になるのも若さの特権である。「大人になるっていうのはもう平気になる心 死にたいほど傷ついてもなつかしいこと」(by松任谷由実「9月の蝉しぐれ」)
だから、若い時はあの明け方を経験した方がいいし、その明け方が過ぎゆくものだと知っておいた方がいい。
そしてラストの明大前は、北村匠海にとってとても大切な儀式だったのである。
私は何故だかひどく共感して感化され、作品鑑賞後に映画館から家まで電車に乗らず、夜道を徒歩で帰ったのだった。

(2022年邦画)
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