私はこの「Beginning」を本当に楽しみにしていたのである。「Final」は最高だったし。この「Beginning」では、幕末の激動期に翻弄されて生きた緋村剣心の、生き方の根幹となる出来事を紐解き、昇華させる。頬に付いて消えない十字傷の謎もここで判明するのだ。だから、それはそれはウキウキとした足取りで映画館に出向いたのである。
だが…。誰に謝ったらいいのか判らないのだが、すみません。私は本作鑑賞中に寝てしまったのだ。自分が吝嗇家である事を告白するのは大変恥ずかしいのだが、私は劇場で映画を観る時に寝る事は殆ど無い。うとうとさえしない。金を払って観た映画かそうでないか(試写会等)とは関係ないので、「ケチ」というのとは少し違うのかもしれないのだけれど、勿体無くて寝るなんてできない、という意識の点では吝嗇なのであろう。仕事も家事も育児も追いかけて来ない時間と空間。電話もかかって来なければ、メールを気にする必要もない。誰かに家事の雑事を頼まれて中座することもない。こんなパラダイスを寝て過ごすなんてあり得ようか?…とはいうものの、何故か1年に1度、どうしても鑑賞中に寝てしまう作品がある。不思議な事なのだが、1年に1度、必ずその作品はやって来る。前触れもなく。もうそうなるとその時は諦めて、ああ、今年の寝る映画はコレなんだな、とか思いつつ、やり過ごすしかない。そして今年のそれは、非常に楽しみにしていたこの「Beginning」だったのである。
何故寝てしまったのか…。面白くなかった訳ではない。緋村剣心と雪代巴の出会いと別れは、かなり胸に沁みた。取ってつけたようではあるものの、新撰組の組み込まれ方は結構面白かった。…ああそうだ、きっと。私はこの一連の「るろ剣」に、アクションを最大限に期待しているのだ。だから、割と静かにまったりとした雰囲気の本作は…それが悪いと言っている訳ではなくてこのテイストはむしろ一周回って臨場感さえ演出していて良いと思う…私の「るろ剣」に対する期待値と異なっていたという事なのだろう。我ながら無粋だよなぁ。

(2021年邦画)
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