う〜〜〜ん…。
テンポが悪い。ともかくテンポが悪過ぎるのである。多々訪れる小っ恥ずかしい場面やセリフも、テンポさえ良ければこんなに小っ恥ずかしいとは感じなかった(はずだ)。しかしこのもたもたし過ぎた感じは、ラスト近くの怒涛の展開まで辿り着くのに、ちょっともう疲れちゃった…と思わせるに充分である。堤真一怪演だったのにさ。
そう、堤真一は、ある意味キラキラしていた。しかし、本来キラキラしなければならないはずの中川大志(私にとっては「坂道のアポロン」の人)と石井杏奈が、何か残念な感じになってしまった。ここで言う「キラキラ」とは作風に合っていない表現だとは思うけれど、役者としてキラキラしているかどうか、という意図で使っている。
話の内容については特段の文句は無い。言い換えれば文句を付けるような内容でもない。扱っている事は結構深刻なものである。だが、この深刻な、そして唾棄すべき事が背景にある内容でさえも、テンポの悪さが水を差す。誰でもヒーローになり得る、という、かなり好みのテーマでさえ、えー…それとこれとは違うだろう、という気持ちにさせてしまうのも、テンポの悪さが一因かもしれない。
それともしかしたら、中川大志も石井杏奈もデコ(オデコのことです)を出した方が絶対にいいよね。デコを出さない所に、イケメンさん、美人さんを表出させないという意図で二人がそれぞれ抱える陰鬱さを描いていたのかもしれないけど。
あともう一つ多少のネタバレ絡みなのだが、清澄(中川大志)の母親(矢田亜希子)のように、初対面の人に対してぐいぐいと個人的な事情を聞き出そうとする人、私は苦手。っていうか、普通に嫌。
(2021年邦画)