多少のネタバレあります。
いや〜無いわ〜、そりゃ無いよぉ〜、などと思いつつ、結構引き込まれてしまった。涙まで流してしまった自分がいた(それは一箇所だけ…「息子たちはまだ8歳なのよ!助けて」のくだりなんだけどね。「終わる訳にはいかない」のジュリアン・ムーアの爆演技の所ではない)。
「無い」し、(崇高なんだけど)嫌な女や嫌な男がメインを張っているし、現実離れ甚だしいと揶揄したい気持ちは今でもある。これは恐らくリメイク元の「アフター・ウエディング」(敬愛するスサンネ・ビアの監督作品である!)と男女の役が入れ替わっているからなのだと思う。だからあまりにも「無い」と思ってしまうのかも。でもね、上手いんだなぁ〜、ジュリアン・ムーアもミシェル・ウィリアムズも。それに、メディアカンパニーを女手ひとつで叩き上げて築き上げたロマンと、インドの孤児院にその身を捧げるロマンは、同性としては激しく応援したくなるではないか!
そう、これは「女のロマン」のオハナシである。もうそうとしか言いようが無い。現実離れしていたっていいのである。
けれど、そのロマンは置いておいて、これが「アフター・ウエディング」とは男女逆の設定となると、やはりどうしてももやもやした気持ちにならざるを得ない。ちょっと待てよ、と。いや、もちろん凄い終活だし、完璧に計画通りにやったジュリアン・ムーアのその行為は、最高のビジネスウーマンたる所以だ。結構カッコいい。だが、人には感情というものがある。そう思うと、こんな計画通りに物事が進むとは思えない。自分が産んだ子供を育てることは叶わなかったのに、元カレが別の女に産ませた子供を養育する事を決意するなんて、ミシェル・ウィリアムズはなんて聖母なんでしょう!そうしてくれと頼むなんて、ジュリアン・ムーアはなんてことを強権発動するのでしょう!そんな彼女に育てられた娘は、結婚式から間もないのにもう相手の事を受け入れられない、なんて忍耐弱い若者なんでしょう!嫌な女じゃん?ええ、みんな、3人とも(だがそれを言うなら約束を破って娘を引き取った夫は最も嫌な人間である)。けれど、嫌な女だからといって共感しない訳ではないし、有り余るお金が(それも自分が築いたもので)あれば、憂いなく使いたい。ああでももちろん夫の元カノに託すのは嫌だなぁ。よく思い付くよなぁ、としか言えない。そもそもそんな財産は持っていないじゃん?という問い掛けは無しでお願いしたいのだけれど。
などと感情に任せてつらつら書き過ぎてしまった。ジュリアン・ムーアとミシェル・ウィリアムズがあまりにも良過ぎて。ただしかし、設定が昼メロの域を出ないのが惜しいところ。昼メロということなら、日本でも連続ドラマ位にはできそうな気がする。とはいえ、美しきインドの風景や(孤児院はかなり恵まれた場所に建っていると思う。風景の描写は貧困を想起させない)、マンハッタンやその郊外の贅沢な居住地など、日本ではこの設定をやろうとしても無理かもなぁ。ロマンがロマン以上になるか否かは、8割方置かれている環境描写による。素晴らしいオフィスや贅沢なレストランは、多くの人にとって日常的なものではない。だからこそ空想的なメロドラマとしては最適なんじゃない?と思わなくはないが。
夢見る夢子ちゃんの年頃を過ぎても…いや、過ぎたからこそ、このあり得ない大人の御伽噺に、昔の私だったら泣けない部分に泣けてしまったのだろう。

(2021年洋画)
htmx.process($el));"
hx-trigger="click"
hx-target="#hx-like-count-post-31998991"
hx-vals='{"url":"https:\/\/tokokonats.exblog.jp\/31998991\/","__csrf_value":"66e104b74fe4b4dd27148fa813c4a2e417d92239286c53f110ddd31b60ebdb284d228f159d2ba00f4724c793c14894cef112aff974099d8865101bf28668fee1"}'
role="button"
class="xbg-like-btn-icon">