最高かよ!観て良かった!香港映画のとあるジャンルの良さが全て詰まっている!でも「とあるジャンル」とか言っても、何のジャンルか限定されている訳ではない。伝統の警察物とも言えるし、これまた伝統の潜入物とも言える。アクション物、ガンファイト物であることは間違いないし、カーチェイス物としても優秀だ。友情物であることは言うに及ばず、絆モノというジャンルがあるのならそれも当て嵌まるだろう。何なら牛が大活躍する動物モノ!と括ってもいい!(笑)
導入部からもう釘付けである。フィリピンの孤児院での2人の男の子の友情の様が、ルービックキューブの小道具(だがこれが肝心かなめ)も彩りを添えて、これ以降の人生で彼らに起こる出来事を予感させ、高揚感が半端なく訪れる。いやもうこれは絶対にアレでしょう。とか心の中で呟きつつ。そして現代の香港に舞台は移り、疑心暗鬼を引き連れて、緊迫した展開が間断なく繰り広げられる。
かなり興奮して書いてしまったけれど、これは、この種の香港映画をずっと愛してきた人に対するご褒美のような作品かもしれない。ニック・チョン、ルイス・クー、フランシス・ンときたら、それだけでもうストーリーなんかは要らない位なのだ。それなのにお話まで面白いときたら…!そして色々なシーンで色々な事に想いを馳せる。刑事同士の絡みでフランシス・ンとルイス・クーがサシで会話をする所では、「爆裂刑事かよ!」と思わず突っ込み…いや〜2人共、年齢を重ねたねぇ…(それは私もです)と感慨に浸る。ニック・チョンとルイス・クーの対峙で「レクイエム 最後の銃弾」を思い出したのは私だけではないはずだ。それでもって、あのフードコートでのやり取りは、図らずも落涙してしまったよ。男と男のぶつかり合いは、香港映画の醍醐味でもある。そして大切なことは食事をする場所(特に円卓)でやり取りされるのが、香港映画だ。
当然のように荒唐無稽であり、かなりな部分で人は不死身であると勘違いさせられる。けれど、突っ込みどころがいくらあったっていいのだ。観終わった直後から「もう一度観たい!」と思わせる、(私にとっての)香港映画の王道中の王道である。素敵な時間をありがとう。
(ちなみに本作、原題は「使徒行者2」で、2017年日本公開の邦題「ダブル・サスペクト 疑惑の潜入捜査官」(原題「使徒行者」)の続編の立ち位置であるが、もちろんよくあるように「使徒行者」と「使徒行者2」にはお話上何の接点もございません!ただし、ニック・チョンとルイス・クーとフランシス・ンと監督がジャズ・ブーンであるという、まだマシな共通点はある。)
(2021年アジア映画)