年末も押し迫って参りました。例年とは違う年の瀬だけれど、やることはやっておかねばやはり気分良く年越しはできないような気がする。
というのも、今年鑑賞した作品で、まだブログにアップしていない作品がひとつあったことに気づいたのだ。別に自分対自分の話なので、どうでもいいといえばどうでもいいことなのだけれど、本作はとても衝撃的で非常に面白い作品だったので、年内にこれを書かずにおられようか。
強烈なレイシストのブライオン(ジェイミー・ベル)が、所属する白人至上主義者の組織で生きる様と、次第に変わっていく様を描き切る。身体中に…顔や頭にも…タトゥーを彫り、黒人を憎み嫌うブライオン。彼が、妻ジュリー(ダニエル・マクドナルド)と出会って以降どのように変わっていくのかは勿論見所の一つであるが、コミュニティが人を取り込んでいく際の過程や成長、破滅の道のりが大変興味深い。白人至上主義者の象徴としてスキンヘッドに身を包み、暴力に明け暮れるブライオンの日常であったが、そこに至るまでには彼なりの恩義に基いていた。すなわち、自分を「拾ってくれた」白人至上主義者のコミュニティに対する帰属性だ。カルト集団にありがちな集団を形成する手法が、長い間人心を支配して行くのは恐怖である。そしてそういった組織が、裏切り者と認定した人間に対する仕打ちもまた空恐ろしい。
ブライオンが変わっていったことは、単純に良かったね、という話でもないし、贖罪したからといってこれまでの罪が消えて無くなる訳でもない。だが、勇気を持って踏み出した一歩というのは、例え大きな苦痛を伴ったとしても、価値があるはずだ。更生の道はた易くはなくイバラの道であることは間違いないけれど、そのイバラは刺さるべくして刺さる痛みであり、タトゥーを彫る時も除去する時も付き纏う物理的な痛みよりもはるかに厄介である。辛苦を乗り越えたブライオンの事を褒めたい気持ちは、彼の鋼の精神が無ければ達成し得なかったことと言えども、妻ジュリーや共済施設のメンバーに対する賛辞に代えたい。
本作は、劇場上映時に短編が同時上映されたのだが、この短編がもうすごくショッキングであった!今からDVD等で鑑賞される方には、是非この短編も同時に鑑賞する事をお勧めする。ジュリー役のダニエル・マクドナルドが、同じレイシストの妻という立場なのだが全く毛色の違う人物を演じる。これが本編への混乱を多少招くかもしれないけれど、その混乱さえも含めて、作品の冒頭に短編を鑑賞できて良かった。強烈過ぎる印象を残して、そのまま本編のうねりに飲み込まれて行ける。長編を作る為に短編制作によって資金を調達しようとした、ガイ・ナティーブ監督の心意気を感じられる。そして短編・本編と通して観ても、長さは感じさせないのである。

(2020年洋画)
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