本作も公開時に何故か観ていない。好きな人ばかり出ているのに。
2017年の「のむコレ」で上映。ああそうか、この年の「のむコレ」の時期はちょうど東京国際映画祭やCSや日本シリーズの頃だった。そうだった、そうだった。一度に3つ以上のことはできないものなぁ。2つのことでも同時にやるのは苦労するのに。
だけど、ホントに好きな人ばかりなんだものなぁ!一食抜いても劇場で観ておくべきだった。
香港で人気のテレビドラマをスピンオフとして映画化した作品。香港警察は何人か潜入捜査官を使っていたが、情報課のホン警視が亡くなった時に、彼らの身の安全を守る為、彼らの情報を削除したことにより、一部の者はその所在さえ判らなくなってしまった。その2年後、一人の女性潜入捜査官ディンの元に、行方知れずだった潜入捜査官からだと思われる謎のメッセージが送られてくる。彼はブラックジャックと名乗り、行方を突き止めようとするディンとその上司のQ警視正(フランシス・ン)を翻弄する。そして彼は、大企業のトップが絡む大きな麻薬取引に関わっているようなのだ。
Q警視正とディンは、ブラックジャックの正体を突き止めようと試みるが、そこにもう一人のブラックジャックを名乗る男が現れる。果たしてどちらが本当のブラックジャックなのか?また、大掛かりな悪事の行方はどのようになっていくのか?…
誰も幸せにならないラストも含め、香港映画の荒唐無稽が散りばめられていて素晴らしい。ルイス・クーとニック・チョンの男同士の固い絆も心を熱くする。フランシス・ンが珍しくイイもん一直線の役でそれもまたカッコいい。エレベーターのシーンのカッコいいこと!扉が空いた瞬間の立ち方などは本当に痺れる。ディンだけは、こんなトロい人が潜入捜査官を務められるのか?そもそも何故配属されたのか?と思わせる程にはウザいが、それもある種の香港映画に特有の、女を媒介者としか扱わない所業と考えればまあ我慢ができる。ブラジルはリオ・デ・ジャネイロでの麻薬取引を巡るカーチェイス、ツートンツートンのモールスが暗号の鍵、等、手垢が付いた設定や小道具を用いたにせよ、緊張感に満ち、迫力があり、魅力がある。
こういう作品を観ると、多少の贔屓目が入ることも承知の上で、自分が香港映画を大好きであることが判る。まあ究極、フランシス・ンだよ!ニック・チョンだよ!ルイス・クーだよ!という部分にワクワクしていた所に、オハナシも結構面白かったというオマケ(普通は逆)が付いていて、二倍楽しめたということなのだろう。
(2020年アジア映画)