なんということはないのだけれど、かなり佳作だと思う。突然亡くなった人が現世に降りてくる、という設定は、少女漫画アルアルであるし、使い古されているという感が無きにしも非ず、であるが、よくある恋愛物とはほんの少し違う…音楽~カセットデッキとカセットテープ、バンド活動、内向的な少年、などのモチーフが使われ、それが私のような感性が荒んだ人間の心にも響いてくるのだ。正直、この手の話が響いてくるとは思わなかった。だが響いてきたよ。間違いなく。
これは、それらのモチーフが綾なす構成の巧さもあるのだが、役者の巧みさもあるのだと思う。ごめんなさい、邦画の若手俳優(女優)を舐めていました、と謝りたくなるほどだ。新田真剣佑って一体何者なんだ!?(いや、千葉真一の息子だということは知っています、そこではなくて。)彼が出ている作品で、最初から明確に彼だと気づかないことのなんと多いことよ。それほど多種多様な表情と演技力を持っているということなのだろう。あと、北村匠海ね。他者との密接な関わりを絶ち、自ら孤独の中に喜びを見出す青年の多感さをものの見事に演じていた。このダブル主演はとても良かった!…「とても良かった」などという凡庸な表現しかできないのが口惜しい
(と言いつつ、実は私はいまだに本作の上杉柊平と清原翔の区別がついていない…顔立ちもキャラも役どころも似ているのではないだろうか?)
そしてヒロインの久保田紗友が、透明感があってとても良かった(ここで母親が牧瀬里穂であることもポイントが高い)。あと、悲しみを考えないようにするために毎日大量の野菜を刻んでポタージュにする、という設定に、哀しい位にころっと引っ掛かってしまった。あー、わかるよ、うんうん。いつの時にも単純な家事は心の助けになるよね。という具合に。で、私はこの作品を観たあと、コールマンの一人用のミキサーを衝動買いしてしまったのだ。コレ本当の話。
と、本編の「オハナシ」には関係のないことをつらつら書いてしまって申し訳ない。「オハナシ」そのものも悪くはなかった。悪くはなかったけれど、多少予定調和のところと、荒目のところがあった。でもそれはまあいいかな。京都の街並みも素敵だったし、星空のプールサイドや、フェスへ続く緑の燃える道は、すごくロマンチックだった。私は本作に未来を感じたのだ。それはすなわち現世から本当に消えてしまったアキ(新田真剣佑)が、颯太(北村匠海)やカナ(久保田紗友)に未来を残すことを感じたのではないかと思う。

(2020年邦画)
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