想像していたよりも面白かった。中華風ファンタジー。CG、ワイヤー丸々の感じもまた良し。
けれど、ストーリーを忘れてしまいそうなので、チラシに書いてあるままを記載しておく。〈〉内は私の心の声。
妖怪の世界から人間を守っていたバリアが壊れ〈などという前提があったんだ…本編では全くスルーされていたよ…〉、たくさんの妖怪たちが押し寄せてきた。彼らを捕らえるため、凄腕の妖怪ハンターで小説家でもあるプウ(ジャッキー・チェン)が人間界に送り込まれる〈…あ、そういうこと?だったのね〉。プウは「陰陽の筆」〈あ、そういう名前だったのね、「魔法の筆」かと思ってた〉の力を使い、邪悪な妖怪たちを地獄に封印するミッションを遂行。あるとき、村の少女たちが美しい二人の女妖怪によって次々と誘拐される事件が発生する〈知事の娘だけかと思ってたよ実際〉。捜査に当たるプウ。そこへ正体不明の男チュイシャ(イーサン・ルアン)が現れ、女妖怪の一人シャオチン(エレイン・チョン)がかつては人間で、愛する者〈ってお前のことだろう!〉のために妖怪になったという哀しい過去を語る〈あんまり哀しげではなかったんですけどそれは〉。難しい選択を迫られるプウ。シャオチンを捕らえるのか、それとも…
怪異短編集の最高傑作「聊斎志異(りょうさいしい)」の原作者として知られる作家、蒲松齢(ホ・ショウレイ)をモデルにしたフィクションなのである。ラストでジャッキー・チェンがしたためたその小説が、ぱらぱらと風にめくれて…というアップで終わるのだが、そのめくれたページの右側は文字が左右反対の逆さ文字になっていて、あ、そうだよね、昔墨で書いたものは裏写りするからそうなるんだよね、と、妙な所に関心。この裏写りした反対称の文字が、女妖怪の使う妖力の小道具、鏡の性能とマッチしているんだなぁ、とふと思う。もちろん、そんな細かいことにいちいち感じ入る話ではないけれど。
コミカルな妖怪や(基本ジャッキー・チェンの味方の妖怪たちはコミカルである)コミカルな捜査官ヤンフェイ(リン・ボーホン)が、ベタベタな子供向け映画の様相を呈しているが、結構好きな世界観だし、ええっ?!となるようなCGも、気づけば楽しく美しい。ある種の安心感を与えてくれる所などは、さすがに成龍印といったところか。

(2020年アジア映画)