
面白かった…のだろうか?いやいや、単なるラブロマンスなのなら最初からそう言ってくれなきゃ。「砂漠の女王」と呼ばれたイギリス人女性ガートルード・ベルが、イラン、ヨルダンからシリアなど、アラビア半島を2500kmラクダのみで渡り歩き、部族と交流した上で遂にはイラク建国の立役者となったその一代記、と言われて観たものだから、すっかり肩透かしを食らった感じである。もっと血湧き肉躍る冒険譚で(アクションなんか決して必要ないのだが)、オスマン帝国滅亡の後、各帝国主義が食指を伸ばす中、アラビアの縦横にびっと無体に線を引いたイギリス・フランス・ロシアの思惑は何処に?なんて秘話が明かされるのかと思っていたら。
まあもちろんそっちの方に重点を置いたら、作品の構成は全然変わってくるだろうし、アラビア半島を旅するまでのあの長過ぎる前段は全ていらないことになってしまう。それはそれでジェームズ・フランコの出番がなくなるから、観る楽しみも大幅に減ってしまう。う〜ん痛し痒しだなぁ。

でも、なんか…ね。いくらインテリでも女は所詮ロマンスが全て、と言われているような構成はホント勘弁して欲しい。イラク建国に関わったとか何とかは、ちょっちょと端折られて説明されているに過ぎないのだ。ラスト近くのあの会談のシーンは、アラブの美しき王子達と鷹を見せたかっただけ?
そうか、サブタイトルに「愛と宿命の日々」と付いていることにきちんと気がつけば良かったのだ。これは完全に私のミステイクだな。

で、上流階級の出自な上にオックスフォード大学を卒業した才女ベル(ニコール・キッドマン)は、ニコール・キッドマンだけあって本当に美しいのだ。透き通る白い肌は、砂漠の砂嵐に痛めつけられてもシミひとつ浮かばない。しかし、ニコール・キッドマンってあんなに大根だったっけ?猫の首に誰も鈴をつけないのなら、敢えて私がつけよう。本作での彼女は「下手くそ」の部類に入る。全体的に単調なのだ。驚きも喜びも同意も拒絶も、あらゆる意思と感情を全て「ひゅっ」と息を呑む仕草で表現。あの「ひゅっ」の多発は一体何なのだろうか?いやもしかして、ひとつの動作で全ての感情を表現するのは逆に演技の達人なのか?表現し切れていないという気はしたけれど。

ということで、平板な展開の中、あまりアラビアのロマンを感じることもなく、ベルの何が偉業に当たるのかもわからず。もしかしてガートルード・ベルは単なる旅行好きのおばちゃんだったので特筆すべきドラマが無かったのか?とさえ思う。人生の一、二度のロマンスが最大の出来事であるようになっちゃったのはそれが原因なのかも?歴史ドラマにロマンスは付き物とはいえ、歴史ドラマそのものを楽しみたかった身としては残念な出来であった。

(2017年洋画)
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