
野球の特待生で大学に合格した青年が、大学入学までの三日間を野球部の寮で乱痴気騒ぎの内に過ごす、ただそれだけの話。けれど、2時間見続けていくと寮のメンバーに愛着が出てきて、それなりに面白くなってくる。80年代の狂乱も染みるなぁ!

ストーリーなんてあってないようなもので、ともかく新入生達が先輩の洗礼を受けて、酒、女、クスリを覚えていくオハナシ。やりたい放題、しっちゃかめっちゃかなのである。勉強しろよ、というムキもあるでしょう。でもほら彼らは野球をやるためだけに大学に入ってきたわけだから。で、ひとたびグラウンドに立つと、例えそれがただの練習であったとしても、なーんか雰囲気出てるよね。日本みたいな禁欲的な上下関係がないのも又新鮮で楽しい。

特に先輩達なのだけれど、ああいう感じの奴らいたなぁー、と、思わせる。恋人にしたり付き合ったりしたりするタイプじゃないけれど、トモダチには何人かいたなぁー。どーゆートモダチ持ってたんだ?!とお叱りを受ければそれまでなんだけれど、みんな社会に出てからはそれなりにやってますよ、いやマジで。
嬉し楽し懐かし、のディスコミュージックもノレるし、80年代の(ちょっと70年代後半含みの)ファッションも失笑も含んでしまうけれど、なかなか。パーティーの後、キャンパスの中の公園(池)で夜通し語り合う、恋が始まったばかりの描写もさもありなん、である。

でも、この作品を一番楽しめるのは、男性諸氏なのだろうなぁ。過ぎ去りし日々を懐かしむのか、なーんだよコレ、ダサいけどありがち、俺は違うけどねー、と思うかは別にしても、男性諸氏の方が明らかに共感を持つ内容だと思う。
同じディスコで踊り明かす「女子」の方の気持ちに触れた作品ではないけれど、まあきっと世のイケイケ男子(若いの限定)の願望って結局こういうものなのだろうな、と思わせる。
そして大学生の就職活動では、こと体育会系がもてはやされる(もちろん今でもそうだろうけど、この時代なんかむしろ先輩からの紹介で職が決まり、学生の方に選択の自由は無かったはず)のは、恐らくこんな感じの絆が原因のひとつなのだろうな、と思ったりするのだ。

世界はボクらの手の中に。ちっちゃいけれど、確実にそれが彼らの「世界」。サブタイトルにそれを冠したのは秀逸だと思う。あ〜、青春カムバック!

(2016年に観た洋画)