
裏切り、裏切られの繰り返し。救われる者はいるのだろうか?
トリプル9(コード999)とは、警察官が現場で負傷又は死亡した時に流される警察の無線コードのこと。このコードが無線で伝わった瞬間、ありとあらゆる警官、パトカー、SWATは現場に急行する。最大の罪人、警官殺しの犯人を追うために。
それは、犯罪多発地域において、トリプル9が発動されたその数分間は警官が全く機能しないことを意味している。これを利用して、ある犯罪の集大成を遂げようとする集団がいた。

ロシアンマフィアと結託して…というよりロシアンマフィアにメンバーの内の一人の息子の命を握られて、犯罪に手を染める現役・退役警察官たち。もちろん、ロシアンマフィアからの謝礼、つまり大金が何よりの目的ではあるにしろ、ある理由で子供が緩やかに人質となっているのでは、ロシアンマフィアの命を断れない。

そこに別の地区から赴任してきたクリス(ケイシー・アフレック)がメンバーの内の一人とバディを組むことになって、望むと望まないとに関わらず、クリスは犯罪者集団の行動に巻き込まれていく…。

それにしても…こんな警察嫌だ、と思うような激しい暴力を伴い事は進行していく。「ザ・ロード」「欲望のバージニア」のジョン・ヒルコートが監督を務めるだけあって、この辺りの描写はお手の物なのだろう。裏切りが裏切りを呼び、又裏切りを重ねる。救いのない展開、ラストのわずかなカタルシス。暗い夜の底で、男たちの哀切が炸裂する。

出演は他にキウェテル・イジョフォー、アンソニー・マッキー、ウッディ・ハレルソン、ガル・ガドット等。ロシアンマフィアの女ボス役を演じるケイト・ウィンスレットは彼女が近頃よく演じるモッサリした感じではない。まるでコスプレみたいでなかなか。

(2016年に観た洋画)