
法廷物と言えば、弁護士と検事の駆け引きの中で、ラストに明らかにされる真実、大どんでん返しなど、驚きが散りばめられたものであるのが常である。本作でも、公判中一言も口をきかなかった被告の青年が最終局面で明かした真実などは驚くべきものであると思うのだが、本作で一番驚いたのは、レニー・ゼルウィガーの老けっぷりだった!ネットなどで彼女の美貌がちょっとアレになってきた情報は以前から得てきていたものの、実際に動いている彼女を見ると、いやはや…。「ブリジット・ジョーンズの日記」の時には、友達にしたいNo.1クラスの(当社比)女の子だったのに、今の彼女はできれば親交を深めたくない位に悲壮感漂わせていた。

ネタバレになるのだが、悲壮感、という表現が相応しいのなら、それは役作りなのかもしれないなぁ…、とは思いつつ、配役が適役かどうかを本作に限り問うてみると、まず、バリバリの主演のキアヌ・リーブスはどうなのよ?という所に思いが至る。「復活した」と評判の(当社比)キアヌ・リーブス、本作では全く個性が感じられず、いいところ無し、という印象。あんなかっちり真面目ちゃんみたいな、もはやコスチュームみたいな弁護士の格好をしているから、普通なら彼の「隠された真実」が暴かれた後にその対比が際立つはずなのに、圧倒的に色気に欠けるためそこが全くミスマッチなのだ。この役をキアヌに充てる必要があったのか?マシュー・マコノヒー的な過去に何かありそうな俳優の方が良かったのでは?いやまあ、弁護士のコスプレをしたキアヌが昼メロを演じているのだと思えば、適役と言えなくもないけれど。しかしアレだよ、究極、お世話になった人物を情欲の果てに裏切る役柄だよ。あんなつるっつるのお肌でやられてもなぁ…。


と、そんなことばかりに目が行き、肝心の作品の方はちゃんと観ていたのか?!と、言われかねないのであるが、…まあ、普通にきちんとした法廷サスペンスであった。一定のレベルに達しているとは思うけれど、配役の事が気になる位よそ見してても大丈夫、という点から言えば、そこそこ、といった所なのかなぁ…。冒頭から作中、裁判の象徴である剣と秤を手にした女神が何度か映るのだが、この作品の法廷での正義とは、互いに隠し事を持ちながらも結局は同じ所に帰結する3人の姿と同様に、脆く危ういものなのであった。

(2016年に観た洋画)