
怖くて哀しいオハナシ。冒頭から映し出される北欧の漁村の風景があまりにも美しいのだが、その美しさが閉鎖性のある村の棘を想起させる働きをしていると思う。

このタイトルからして充分に想像しなければならないはずの展開に、中盤まで全く気づかなかった。ある意味ラッキーな接し方だ。だからこそ、怖さと哀しさがひとしお。

ネタバレする内容ではないので、これ以上どう書いていいのか判らないが…インターネット、SNSが発達している現代社会ではこういう村の構造はあり得ないと思うのだが、それでも「異形」に対する廃除行為が現存する事は厳しい現実である。魚市場で働く彼女に行う様々な嫌がらせなどは、子供っぽいと感じられるものの、実際にはまだまだ生易しいのかもしれない。…それで言うなら、彼女の母親に対する村ぐるみの行為は、残酷な仕打ちに見えるけれど、村人なりの自己防衛と優しさがせめぎ合った結果の妥協点なのかもしれない。この行為は不快極まりないものだけれど。

作品そのものには粗は様々あるものの、映像の美しさとそれに伴う寂寞とした切なさはとても良かった。寒いのは嫌いだから絶対に住もうとは思わない場所だけれど、あんな風に海べりを散歩して思索する時間、欲しいなぁ。いや、この気持ちは本作の内容とは無関係。普通に平凡に生きてきた(はずの)少女に起こる想像もしなかった恐ろしい現実。それが乙女の表情と心情に上手くシンクロして、怖くて美しい作品になった。北欧の漁村の風景だけでも観るべき価値はある。

(2016年に観た洋画)