
原作漫画は未読なのだけれど、タイムリープ物としてなかなか面白かった。キーワードとなるあの言葉を最初に言い出したのは誰?というような議論を息子と楽しめたのも、前のページに戻って解決することができない映画ならでは。
粗筋としては…以下多少のネタバレです。

藤沼悟(藤原竜也)は北海道から上京してきたうだつの上がらない漫画家志望で、ピザの配達のバイトをしながらアパート暮らしをしているのだが、ある頃から自分に不思議な能力が備わっていることに気付く。何気なく日常を過ごしていると、ある時ふっと時空が歪み、数分前の同じ風景に戻っている。風景だけでなく、悟はその時点のその場から全く同じ行動を繰り返すことになるのだが、実はその数分間の風景の中に見逃した出来事が起こっており、それが直後の重大な…誰かが命を落とすような出来事に繋がっているのだ。そのことに気付いた悟は、遡った時間の中で集中力を最大限に発揮し、起こるべき悲惨な出来事を回避すべく必死の努力をする。
しかし、そのリバイバル過程を経て人知れず「人助け」をしている内に、上京してきた母(石田ゆり子)が自分のアパートで何者かに殺される事件が起こる。こういう時こそ時間が戻らないものか?そして願いが届いたのか、悟はかつてない時空の旅をすることになる。気付くと小学生の自分に戻っていたのだ。ここに何かが、母が殺された原因の何かがある!
悟が小学生の当時、北海道で起こった少女連続誘拐殺人事件。これが全ての源だと気付いた悟は、その殺人事件を阻止しようと、小学生なりの八面六臂の行動を起こす…。

子役の演技、みんな上手い。最近はこういう普通な感じが演れる子が増えているんだね。だから失笑することも辟易とすることもなく観ることができた。そして藤原竜也もそれに合わせたのかどうかはわからないけれど、比較的抑えめな演技で、しかし爆発するべき所は相変わらずの藤原節で安定感アリ。

でもでも…本当に本当のネタバレなのだけれど…。
悟は、結果として母だけでなく、他の子供の命も救うことになったのだけれど、私が悟の母なら自分の命はどうでもいいから、悟に生きていて欲しかった。再構築された世界の中では、自分の身(と息子の悟の身に)に何が起こっていたかは知る由も無いんだけど、あのラストは私にはハッピーエンドとは思えない。とどのつまり(一般的には夢想で憧れる事もあるかもしれない)やり直した人生であったとしても、オールオッケーになることはないんだよなぁ…。
(2016年に観た邦画)