
ワールドフォーカス部門。
中国では、最近までIQの高い子供だけを集めた学校教育を行っていた。それは「少年班」と呼ばれているが、その実態をドラマ仕立てにした作品。ウェイという、高IQ軍団の中では比較的普通(つまり他の子供たちに比べればあまり能力が高くない少年)が主人公となり、狂言回しをしている。彼らの先生であるチョウ先生をスン・ホンレイが演じている(これはすごい!)。

1978年、15歳の能力の高い子供たちが集められた事からスタートした少年班という仕組み。立派な狼になる為の試み。1998年7月12日、チョウ先生(スン・ホンレイ)が中国の全土を回って優秀な子供たちをスカウトする所から物語は始まる。これがなかなか面白い。「ドリームチーム」を作るようなものである。

各地から集められた少年たちは、全寮制の学校に入った。他の子供たちと一緒に授業を受ける事もある。又、一つの教室に集められ、チョウ先生から檄を飛ばされる事もある。知識との戦いに集中しなければ君達に未来はない。そして「国際数学競技会(IMC)」で優勝する事を目標とするのである。
そして彼らの、勉強に、友情に、恋愛に、と勤しむ学園ドラマが展開されるのであるが、ここからはQ&Aに登壇したシャオ・ヤン監督の話を引用しよう。

シャオ・ヤン監督は、1994年、15歳で西安交通大学の少年班に入学した。映画の登場人物のウェイは本人がモデルである。この時の少年班の出身者は、様々な分野に就職しているが、TVではキャスターや俳優になっている人はいるけれど、映画監督になったのは自分一人である。
少年班は1979年から中国の20数か所の大学に設けられたが、今では2か所となっている。
少年班については、少年時代を存分に過ごさせてあげられないのはよくない、という反対論もある。
自分自身については、ウェイと同様、少年班の中ではあまり賢い方ではなかった。誰でも14〜15歳の少年の頃は色々な思い出がある。一括りにコレとは言えない。当時自分は賢くない事を他人に知られたくなかった。だが、賢くなくてもカッコ良くなくても、自分を見つけられればいいと思う。自分が何者なのか?何をすべきなのか?自分探しができたいい時代だった。
昔の教師は「信仰」と言える位、信念を持って厳しく教育にあたっていた。でも、厳しく育てるだけが先生じゃない、という先生像を描いてみたつもりだ。先生のモデルは、高校・大学の先生を混ぜ合わせたような感じ。生徒役も70%位こんな感じである。

少年班の子供たちは、まだ15歳だから発育が充分でない。でも頭がいい。最初は優越感を感じているが、やがて疎外感を感じるようになる。
シャオ・ヤン監督は、IQが高いせいなのか、言葉が途切れる事なく次から次へと喋る。よー喋るなー…話なげー…という感じだ。やっぱり天才だから?(笑)有名監督の編集者を経て今回自ら監督になったのだという。
最初は「少年班」という特殊性に興味を持って鑑賞する事にしたのだが、芸達者なスン・ホンレイの下で少年班の子供たちが活き活きと青春を送る青春学園ドラマであった。活力に満ちて、切なくて、ほろ苦ほろ甘の青春。それは教師であるチョウ先生も同様である。
青春学園ドラマなのであるが、少年班の子供たちの天才である故の悩みや、きりりと勉学に打ち込み天才ぶりを発揮する様は大変面白かった。

しかし、中国全土を天才を求めて探し回るのって何かすごい…。あの広大な国土には、そして数多の人口の中では、きっといるんだろうな、天才。山奥に埋もれた才能、とか平気でありそうだ。日本でも、横並びにして全員が一等賞でゴールする徒競走、みたいな馬鹿なことしてないで、この位やればいいのに、と、密かに思ってしまった。
(2015年に観たアジア映画/東京国際映画祭)