ああ、もうもうお腹いっぱいだ!
嬉し恥ずかし「美少年の恋」。「パタリロだ…」と見始めは思った。めくるめく男色の世界。しかしそれを美しく繊細に描くのはたやすいことではない。魔夜峰央の描くような美少年はあれは漫画家の才能であって現実にはいない、という事は、夢見る乙女にですら常識である。しかし、いたなぁ!いたんだなぁ!と思わせる程のスティーヴン・フォンとダニエル・ウー!
スティーヴン・フォン…!懐かしい!そういう意味で言えば1998年のこの作品、誰もが懐かしい(若い)のだが、スティーブン・フォンは最近俳優としては銀幕で観なくなったもんなぁ。この作品での半端ないカッコのつけ方は半笑いしながら観るのが正しい鑑賞の仕方なのだろうけれど。それもまたくすぐったくなる程良し、だ。
そしてダニエル・ウー。初めて彼をスクリーンできちんと観たのは「ワンナイト・イン・モンコック」なのだが、その時からただイケメンだけではない男。と認定していたけれど、本当にすごく良かった。この作品では見方によってはただのイケメンに見えなくもない所、過去を隠したミステリアスな部分と親を大切にして家族内では良き息子で居続ける部分のアンバランスさを、絶妙に演じている。父親の涙を見て深い悔恨と絶望をたたえて嗚咽する演技は素晴らしかった。
でもなんだかんだ言いながらも、これはね、この作品はね、もう何も考えずにただただ美しい彼らを堪能する作品である。眼福眼福、ありがたや〜ってな具合に。そして切なさをスパイスに加え、味わい尽くして本当にもうお腹いっぱいだ。この頃の香港映画の豊作だったこと!過去にジェラシーを感じてしまう。
シネマート六本木閉館のスペシャル企画として鑑賞。いや、ホントにスペシャルでした。鑑賞中、心の中で何度も黄色い声を上げさせていただきました。
(2015年に観たアジア映画)