
シネマート六本木の閉館イベント「香港電影天堂 最終章」で鑑賞。もちろん公開時に幾度となく観たし、DVDだって持っている。けれど、やはり最後に大画面で観たい。あの表情、あのセリフを今一度目に焼き付けておくために。

インファナル・アフェア。無間道。
全ての野球マンガのバイブルが「巨人の星」であるのと同様に、全ての潜入捜査官物のバイブルはこの「インファナル・アフェア」である。と、私は信じてる。

同じ警察学校の同期として互いを知らずに訓練してきたヤン(トニー・レオン)とラウ(アンディ・ラウ)。しかし、ヤンはウォン警視(アンソニー・ウォン)の命を受けて警察学校を退学し、潜入捜査官として潜伏。組のボス、サム(エリック・ツァン)の忠実な部下を装う。一方ラウはそもそもサムが警察学校に送り込んだサムのイヌであり、ヤンとラウは逃れられない運命に身を投じることとなる。
私のような者が何かを書くのもおこがましい位のあまりにも有名な内容だし、あまりにも沢山の名シーンで溢れている。
名シーン…全てがベスト。全ての名シーンを噛み締めながら何度目かの鑑賞を味わい尽くした。
これからの運命も知らずに、ラウが偶然立ち寄ったオーディオショップで留守番店員のヤンと二人して聴く香港歌謡。

ヤンが腕のギプスを隠れ蓑にウォンに送るモールス信号。夜の窓辺を背景にただならぬ緊張感が漂う。

警察の葬儀の列を陰ながら見送り敬礼をするヤン。

ビルの屋上でのヤンとウォンの密会。
警察署内で相対するウォンとサムの火花散る対決。
ヤンが降り立ったタクシーの真上に屋上から落ちて叩きつけられるウォン。
ラウの封筒を外腿にリズミカルに叩きながらの独特の歩き方。
キョン(チャップマン・トゥ)の名セリフ「気をつけろ、素知らぬフリをしてこっちを見ているヤツがいたらそれは警官だ」。
屋上でのヤンとラウの対決。その時のヤンの名セリフ「あいにく俺は警官だ」。

潜入捜査官になる為に警察学校を後にする(名目上は素行不良での退学)若き日のヤンを見て「ああなりたい…」と呟く若き日のラウ。
公開当時からつい最近まで、潜入捜査官から元の警官の身分に戻れないヤンの苛立ちと哀しみの方が胸に迫っていた私だったが…。
今回見返してみると、「ああなりたい」と呟くラウの心情の方がしみじみと切なく感じられる。
監督はアンドリュー・ラウとアラン・マック。

(2015年に観たアジア映画)