
独特の雰囲気。正直、訳わからなかった。話しの繋がりがどうの、という以前にこのテイストについて行けるか?という意味で。記憶には残る。それも鮮烈に。ただ、観ている最中眠かったのも確か。遠雷の音のせいなのか、犬や馬の息遣いのせいなのか、音が眠気を誘ったのか?と思う程。

私はメキシコ映画は初めてなので(メキシコを舞台にした映画という意味ではない)、当然このカルロス・レイダガス監督の作品もお初である。そもそもこの監督作品自体が日本初公開。映画祭とかそういう所で出会う作品ならまだしも(実際に2012年の東京国際映画祭のWORLD CINEMA部門で上映されている)、単館上映とはいえ普通に公開だからなぁ…さすがユーロスペース、と言っていいものかどうか。

メキシコの比較的裕福な家庭に、雷鳴が轟くある晩、山羊の頭で長くて先の尖ったしっぽを持つ、赤く発光した謎の…そう、悪魔の形状に似た謎の形状のものが忍び込み、それとは気づかぬ内に、少しずつ歯車が狂い出していく。
それとは気づかぬ、と言えども、実はこの超常現象に、幼い二人の子供達は気づいていたのかもしれない。圧倒的なメキシコの自然の風景をバックに、交錯する畏怖の概念。自然とそれに対峙する人間の欲望とが混在する。

ひとつひとつのシーンが、描写が長いんだ、これが。次のシーンにはいつ行くの?と不謹慎にも眠たくなって思ってしまった。複眼レンズのような撮影手法も、幻想と現実の混沌を表しているが、冒頭での使い方はすごく良かったんだけど後は良し悪しだな。感性ギリギリを試されるような作品だと思った。
(2014年洋画)