
この作品のシチュエーションは、女系家族に生まれ育った人でなければ真に理解はできないだろうなぁ…と思った。逆に言うと、女系家族に生まれ育ったからこそ判る。フツーから見れば「嘘だろ〜」的な設定も判る。特に、この私が一番温厚な子だったと認定されるような恐るべき女系の環境に育っていれば。今でも親戚の集まりは、ほっとするような、しかしやっぱり緊張感漂うがんじがらめの女の園、で決して楽しいものではないしなぁ…(水道の蛇口からポタリポタリと垂れる水音が気になって、固く閉めようとして蛇口を捻りちぎった、などの逸話は数しれず)。気の強い女達が集ったらどうなるか…嫌という程知ってるし、それが親族なら尚更。

原題は「August Osage County」。オーセージ郡は、オクラホマ州の北部にある郡である。そう、設定は真夏のオクラホマ。
口腔癌を患って、痛みを抑える為に薬漬けになって、元からの性格に輪をかけてちょっとアレになってしまった母ヴァイオレット(メリル・ストリープ)。ある日夫であるべバリー(サム・シェパード)の行方がわからなくなり、不安に陥ったヴァイオレットは実の姉と娘バーバラ(ジュリア・ロバーツ)を呼び戻す。不安は的中し、べバリーは水死体となって発見された。入水自殺であった。葬儀に集まる娘達(とそのパートナー)。これまでスルーされてきた家族の問題が、真夏のオクラホマで白日の下に晒される事になる。

確かに舞台劇向けのオハナシ。映画で昇華できたのはそこそこ素晴らしい。古臭い設定ではあるけれど、家族の問題の衝撃度は切なさと痛みで苦しい思いになる。コメディという触れ込みなのに。

母メリル・ストリープと娘ジュリア・ロバーツの取っ組み合いのシーンが予告編などでもかなりクローズアップされているけど(名女優ガチンコバトル、的に)、個人的には母の主治医に対峙する時と、妹のアイビー(ジュリアンヌ・ニコルソン)に「落としっこね?!」と自分の皿を叩き落とす時のジュリア・ロバーツがすごい熱演だと思う。しかし、どのバトルもバーバラの愛から発している事を思うと、優等生でいながらも、偏った愛を一身に受けながらも、結局何物にもなれなかったバーバラの胸の内の切なさや優しさが感じられて哀しい。

作品を観終わって、ちょっとだけあのある種の牽制に満ちた親戚空間が懐かしくもなったけれど、やっぱりそうそう気楽には帰れない私は、どこかにバーバラの気持ちを持っているのかもしれない。
(2014年洋画)
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