
なんという事はない物語でした。
入国管理局であるニューヨークのエリス島を出発点に、運命に翻弄される移民の女の哀しい物語。なんだろうけど、でもだから?という感じ。
第一次世界大戦と第二次世界大戦の間の1921年、戦火のポーランドから逃れてアメリカにやってきたエヴァ(マリア・コテヤール)だったが、入管管理のエリス島には迎えに来るはずの叔母の姿はなく、妹も肺病で隔離されてしまう。送還されるしか道がなかったエヴァを救ってくれたのは居合わせたブルーノ(ホアキン・フェニックス)。だが彼は女衒であり、エヴァはやがて踊り子とは名ばかりの娼婦として生計を立てなければならなくなる。まだエリス島で隔離されたままの妹を救うために。
行く当てのないエヴァを入国管理局=エリス島から連れ出してくれたブルーノは、やがてエヴァを本気で愛してしまい、エヴァは恩義は感じるもののブルーノへの愛は芽生えない。そこに過去にブルーノと確執があったブルーノの従兄弟でマジシャンのエミール(又の名をオーランド)(ジェレミー・レナー)が現れ、エヴァはエミールに想いを抱くものの、対立関係の二人に翻弄される。

そして遂に、過去の確執とエヴァを巡って、ブルーノとエミールは対決し、取り返しのつかない事が起こってしまう。
全てに於いて転落の一途を辿るエヴァ(とブルーノ)だったが、エヴァはブルーノの助けを借りて妹をエリス島から脱出させ、連れ立って遠くカリフォルニアへ逃げる事ができたのだった…。

身を売る事でしか生計を立てられなかった哀しい女のエヴァ。「妹を救うため」と、自分の心に偽ってその行為を続けるしかない。寄る辺の教会で告解をするものの、その罪は神でさえ許さないのだ。
でも…入国管理局からエヴァを救ってくれたのはブルーノで、更に売春地獄の道から救ってくれたのもブルーノだけれど、元はと言えばブルーノが仕組んだエヴァの運命。ブルーノが最初からエヴァに目を付けて目論んでいなければ、エヴァの辿る道は違ったものになっていたのだ。そう思うと、この作品はブルーノの壮絶なマッチポンプにしか見えない。あまりのマッチポンプさかげんに、一人の女の哀しい運命、というよりも、おいおいブルーノ何やってんだよ感が否めなかった。
(2014年洋画)