ロウ・イエ監督作品。天安門事件を題材にした作品を作った事により、彼の作品は中国国内では上映禁止となっていたが、この作品は、中国で5年ぶりに発表を許されたもの。
ロウ・イエ監督の前作「スプリング・フィーバー」は、すごく雰囲気があり、アジア圏にしては衝撃的な内容で、私にはとても心に残る作品だったので、今回も期待して鑑賞。いや、ホントに「スプリング・フィーバー」はとてもいい作品だった。しっとりと、しかし鮮烈に記憶に残っている。
でも…今回のこの「パリ、ただよう花」は、何というか、普通の作品。
激しく、そして多用される性描写が話題だが、もちろんそれだけの作品ではない。しかし、当たり前、というか、平凡…とまではちょっと言い過ぎだけど、だからそれで?というような。何でしょうね、これでは性描写の事のみが話題となっても無理もないかも。
本当にざっと言ってしまえば、こんな話。
パリに留学している28歳の中国人女性教師ホアが(名前は「花」という意味)、そこで25歳のフランス人建設工マチューと出会い、インテリのホアがこれまで出会った男とは違う、荒々しい愛し方で愛され、離れられない仲となる。
しかし、マチューには隠していた事があり、それも含めて、ホアの考え方や生き方と異なるマチューの行動や束縛が、ホアにとって次第に耐えられないものとなる。そして2人は…という展開。
悪くないし、共感もある。ダメ男に惹かれてしまうホアの傾倒の仕方もよく判る。自分がこれまで他人から認識されていた、又は求められていた人物像以外の点を激しく求めるマチューに対する正の感情もよく判る。
でもだから?という感じ。
もっと言えば、25歳と28歳でそんな事してるなよ。もっと若い内に経験しとけよ、そういう感情は。っていう所かな。
ただ、驚いたのは、マチュー役が「預言者」のタハール・ラヒムだった事!この人は凄く好き。
(2013年アジア映画)