
東京国際映画祭コンペティション作品。コンペの中では恐らくこの作品が一番注目度が高かったんじゃないかな。観客の期待度も。そして見事に観客賞を受賞。
泣く子も黙るキム・ギドクが脚本、プロデュース。北朝鮮の知られざる諜報活動をベースにした話、と言えば、そりゃあもう、東京国際映画祭よありがとう!と言いたくもなる。
イムジン川のほとり、北と南の国境で、夫婦と兄妹の普通の4人家族がいかにも観光、という体裁で、写真を撮ったり食事を楽しんだりしている。しかし、彼らは南に潜入した北のスパイであり、ひとたび家庭(を装ったアジト)に戻れば、リーダー(キム・ユミ)を中心とした厳しい反省会を行い、上からの指示に盲目的に従う。時には訓練の賜物の技能を用いて殺人をも辞さない。何故なら、彼らは血の繋がった家族の間柄ではなく、家族を装った工作員。それぞれ故国北朝鮮に本当の家族を置いて来て、人質にとられたも同然な状態にいるからである。

彼らの隣に住んでいるのは、南の普通の家族。いつも喧嘩や諍いを繰り返していて、一見幸せそうには見えないけれど、結局は普通に暮らしている。必要に迫られて、隣家と交流を持った「レッド・ファミリー」ツバキ班であったが、本物の家族を目の当たりにすると、故郷に置いて来た自身の家族に対する想いは募るばかり。
そしてある日、取り返しのつかない失策を犯してしまう。
暗くて深刻なだけの作りではなく、時にコミカルな要素も盛り込んで、テンポのいい展開になっている。もちろんラストは辛くて苦しいし、観客であるにも関わらず、当事者のような切なさ、それに伴う無力感を感じてしまのだ。
役者は実力派揃い。キム・ユミは言うに及ばず、娘役のパク・ソヨンも頑張ってた。
上映後のトークセッションに、キム・ギドクが登場したのには感激!やーん、もう、本物見ちゃったよーん!
独特の風貌。カリスマ性さすがにあって、オーラぷんぷん!

何故この作品では監督をしなかったのか?と聞かれて、自分が監督する作品はいつも、もっと変わっていてちょっとおどろおどろしい部分がある。でもこの作品はそういうのではない。心から南北の統一を願ってプロデュースしたのだ。というような事を話していた。
そう、そうなのだ。この作品は、決して北朝鮮を偽悪的に描くのではなく、「家族」という部分に焦点を当て、「家族」を思う気持ちは北も南も変わらない。もっと言えば人間である限り変わらない、という、ヒューマニズムを問い直す作品だった。プロパガンダでも何でもなく、純粋に融和したいというその気持ちを感じる事ができた。
(2013年アジア映画/東京国際映画祭)
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