東京国際映画祭コンペティション作品。フィリピン映画。
私はこれ、すごく良かった!個人的にはサクラグランプリをあげたい位。主演のユージン・ドミンゴは最優秀女優賞を受賞した。
マルコス政権の下、フィリピンの田舎町で理髪店を営む夫と共に、夫唱婦随で慎ましく暮らす女。夫は亭主関白で浮気も激しく、それに耐えながら尽くす、信仰に厚く自己主張のない女が、夫の死をきっかけに、自ら理髪店を引き継ぎ、自分の考えを持ち行動する逞しい女になって行く、という物語。

ストーリーは以下。
夫の死後、引き続き理髪店を営む事にした女は、腕が良く、これまで夫が勤めていた市長のお抱え理髪師の座も引き継ぐ事ができた。夫を失った悲しみと、女であるが故に格下に見られる無力感を、何とかこの理髪師の仕事と周りの親戚や近隣の友人達の協力で乗り越えようとしていた。
時はマルコス政権の最盛期。市民は皆制裁を恐れて物言わぬ民であったが、反体制の武装勢力が都市の学生を中心に地下で組織されていた。女の甥もその一人であった。危険な道を行く甥とその仲間達に対して、初めの内はためらうものの、女は彼らに協力するようになる。
やがて、各地でゲリラ戦が勃発。甥達もそれに身を投じる事となる。
甥の仲間が瀕死の重症を負い、甥に連れられてやって来た。匿えば命はない。その上彼は実の姉に一目会いたいと望む。女は彼らを匿い、実姉を呼びに行くが、その実姉とは、亡くなった夫の浮気相手だったという、泣き笑いのドラマもあった。
甥がゲリラである事を実母には告げずに隠し通そうとした女。それは思い遣りからだったのだが、全てが判明した時には、逆に実母から罵られる。知りたかった…実母こそが彼を匿いたかったのだ、と。それは子どもを持つ事ができなかった女には、辛い誹りだった。
そんな中、女は市長の妻と出会う。市長の妻は精神に不安定な所があると噂されていたが、女にしてみれば、ただ単に純粋で繊細な気持ちが強い、一人の女性であった。市長の浮気に悩む所はあの頃の自分と同じ。育ってきた環境も容姿も全く異なる二人であったが、かけがえのない友情を育むようになる。
しかし、マルコス政権の圧政は続き、ゲリラ戦も激しさを増すようになる。ある日、ゲリラを匿ったとして、敬愛していた神父が市長の命によって惨殺される。そして、夫に対して、浮気はもとより、残酷な暴君の面に堪えられなくなった市長の妻は、自殺を図る。
執拗なゲリラ狩り、神父の殺害、友人の自殺…。甥の身に起こるであろう悲劇を思い、心の拠り所としてきた神父を殺され、友情を絶たれ…。女は遂に決意する。その時に。その事を。
そう、その時にその事を。そして女は姿を消した。
その後、女と共に支え合って暮らしていた親類や近隣の友人達の協力の下、女は町を脱出し、その行方はいずれかは知れない。
私達観客が見る事ができるのは、最後に町を振り返る時の女の表情…!強く、たおやかなその眼差し。野に咲く花よりも美しく気高いものは、きっと無いのだ。
(2013年アジア映画/東京国際映画祭)
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