
実話を元にしたした作品。…こんなことが実際にあった、なんて、「黄色い星の子供たち」の時にも思ったけれど、「とても信じられない」という凡庸な表現しかできません。
ドイツ軍の監視下にあるポーランド強制収容所で出会った-人間の尊厳を保つことも生き残ることも困難だった、あの有名な強制収容所で出会った-ハンナとトマシュ。二人は恋に落ち、命がけで収容所を逃げ出し、命がけでトマシュの故郷へ戻る。しかし、ある使命を帯びたトマシュが異国まで旅立っている間に、いくつかの悲劇的な出来事が故郷を襲い、待ち続けたハンナもポーランドを出ることになり…
二人は互いに再会できぬまま、二度と会えなくなってしまう。

時と場所は変わって、今は、豊かなニューヨークの現代社会。ハンナは裕福でインテリの夫や美しい娘と暮らし、収容所での体験が嘘のような平穏な日々を送っていた。
しかし、ふと立ち寄ったクリーニング店で放送されていたテレビジョンに、かつての恋人、生き別れになった恋人トマシュが映っていることを発見する。
立ちすくむハンナ(私はこのクリーニング店の描写が凄く心に刺さりました。そう、全てのセンセーショナルな忘れ難き出来事は、こういう平凡な日常の一こまから始まり、決して抜けない棘となり心に刺さるものです)。
あの人が生きていた…!
何故?どうして?
私はどうしたいの?どうすればいいの?

全編全て、強制収容所での二人の恋、脱走を試みるトマシュの用意周到な準備、脱走してポーランドの田舎に隠れ住む生活、そしてトマシュを探そうという決意に至るまでの老いたハンナの心の葛藤、の描写が、縦糸横糸折り重なって、物語を構成している。
勿論、収容所での生活や、脱走の瞬間、逃走の苦難の部分は胸が辛くなる程どきんどきんするけれど、物語は意外にも静かに淡々と進行し、だがそれ故に非常に現実的に心に迫ってくるのだ。
そして、大戦下の大掛かりな背景で見過ごされがちだけれど、言ってしまえば、嫁・姑の対立が、最終的に二人の運命を決めてしまっていたりもする。
ある意味人生の酸いも甘いも噛み分けた大人が観るべき作品。但し、心の中に青春の鼓動を持ちながら。そうしながらも、静かに、落ち着いて真実を見分けようと努めることができる大人が観るべき作品。きっとじわじわとした余韻に浸ることができると思う。
(2012年洋画)
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