
安心して鑑賞できる作品。というと、語弊があるかもしれないけれど、SFの構成がきちんとしていて、こういう作品にしては珍しく論理の破綻がない。近未来都市の都市構造も映像もリアルだし、描写にはダイナミズムがある。それも、ある種の暗い、影のあるダイナミズム。その描写が妙に美しい。「ブラック・レイン」のような作品に共通して感じる、退廃的な美しさ。
ちょっと褒め過ぎかな?ま、コリン・ファレルに免じて許して下さい。コリン・ファレルも、やさグレた底辺階級風のテイストがそのまんまよく似合っていてイイ感じ。

近未来、地球は世界的な化学兵器戦争の成れの果て、ヒトが住み得る土地はごくわずかな場所となっていた。ヨーロッパ北西部とオセアニア大陸のみである。そして、ヒトは二極分割し、富める者達がブリテン連邦(UFB)に住み、貧しい者達はオセアニア大陸にあるコロニーに住み、貧者はブリテン連邦に搾取され続けていた。彼らコロニーの住民は、巨大なエレベーターのような乗り物“フォール”に乗り込み、地軸を通って地球の反対側のUFBに通い、働き詰めに働いて、又コロニーに戻ってくる、という毎日を過ごしている。ダグラス・クエイド(コリン・ファレル)も例外ではなく、毎日毎日を、ただ、UFBに通い、UFBのために働き奉仕し、UFBのために自分を磨耗し尽している。美しい妻(ケイト・ベッキンセール)はいるものの、しがないアンドロイド製造工場に働く一介の労働者、それがダグラスであった。
ある日、こんな生活に飽き足らず、ダグラスは同じ工場に勤めている仲間の口伝えから、自分が望む記憶を今の自分の頭に植え付け、記憶だけは自由に別世界で生きることができる体験をさせてくれる「リコール社」の存在を知る。ダグラスは「リコール社」を訪れ、記憶を買おうとするのだが…。

自分の好きな記憶を買おうとした所、実は自分自身が労働者のニセの記憶を植え付けられた諜報員だった、という展開。しかもコロニー労働階級として憎しみさえ抱いていたUFB側の諜報員。更に更に、寝返って労働者側のサイドに立とうとしていた矢先…のようらしい、どうやら…!たぶん…!えーっ、だって俺には俺が誰だかわかりゃしないのさ、というダグラス。美しい妻も実は自分を監視するために派遣されてきていた選りすぐりの諜報員だったり、その妻との愛の生活も植え付けられたただの記憶に過ぎなかったり。そういった、自分自身が誰だか判らない系の描写は素敵。ちょっと古臭いけど感情移入できる。貸金庫(近未来なのに古い作り…貸金庫って時代が変わっても絶対に変わらない物のひとつなんだ…とか、妙な部分で感心)に隠された謎とか、ピアノが語る謎のメロディーとか、時々記憶に蘇ってくる病院のワンシーンとか。全てがどことなく古臭いんだけど、わかりやすいSF、といった感じでしみじみとする。
クライマックスのアクションシーンも、“フォールで地軸の中心部を通過する時に重力が逆転する”という、勿論実際には有り得ないんだろうけど、理屈で考えると有り得ちゃう、そんな頭の体操みたいなことが戦術のポイントとなったりして、面白い。
まあ、だけど、ワタクシ的には何といってもコリン・ファレルな訳ですよ。前作の「トータル・リコール」でシュワルツネッガーがやった役をリメイクの本作ではコリン・ファレルがやるなんて、感慨深いものがあるよね。しかもアル中でヤク中の(勿論“かつて”ですよ!!)コリン・ファレルが記憶を買って快楽に身を任せ…的な導入部が色んな意味で堪らない訳で。記憶が戻ってくる過程のラリラリぶりも堪らないし。
という感じで、娯楽作品として、充分に楽しんだのでした。
(2012年洋画)
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