
「アース・ウィンド・アンド・ファイヤー」の「September」。オープニングのシーンから、劇場予告編から、この曲がテーマソングのように鳴り響いていました。で、この「September」だったからこそ、この作品はいわゆるお涙頂戴物にはならずに、爽やかに駆け抜けていくことができたのかも。
…いえ、ただ、この「September」は、私にとってはジャイアンツの阿部慎之介の登場テーマソングだからねぇ…。もう、そうとしか聞こえないのよ。「ホームラン♪阿部慎之介~、ホームラン♪阿部慎之介~」としか。ええ、生涯。そして、この「September」を(「ホームラン♪阿部慎之介~」を)聴く度に、東京ドームの高い天井、オレンジ色のタオルがはためく光景、生ビールの味、などなどが瞬時に蘇ってきて、しばしシアワセな気分に浸ることができるという訳。幼い頃、阿部選手の大ファンだった息子のカード集めのことなんかも思い出したりしてさ。

こんな、作品とは無関係な話をつらつら並べているとお思いでしょうが…実は壮大な伏線ですな。私に「アース・ウィンド・アンド・ファイヤー」の「September」のサビの部分が「ホームラン♪阿部慎之介~」としか聞こえないように、ドリス(オマール・シー)には、ヴィバルディの「四季-春-」が職業安定所の電話の保留音メロディーにしか聞こえない。芸術や金のかかったゴージャスな趣味も、笑い飛ばして直球のセンスで判断できるドリス。
スラム街出身の彼は、最初から失業保険目当てで大富豪フィリップ(フランソワ・クリュゼ)の求人募集のドアを叩く。フィリップは、全身麻痺の大富豪で、医師などとは別に身の回りの世話をする人が必要だったのだ。
一週間ともたない、と言われているそのお世話係。スラム街出身で教養のきょの字もないドリスに勤まるのだろうか?勿論、最初はとまどい、悪態をつき、マイペースが原因でミスをしたりするドリスであるし、金持ちで心身不自由で気難しいフィリップは、自分のおかれている境遇にイラつく頑固者であった。
とはいえ、並み居る求人達の中からドリスを選んだフィリップは、こう言う。「彼だけは私を普通に扱う。」
そして、幾日か経つ内に、フィリップの心の隙間や、ドリスのスラム街での複雑な家族の身の上をお互い語り合うことができるようになり、フィリップはドリスから心の自由を得ることができ、ドリスはフィリップから真の芸術やセンスを学ぶことができる。
笑いに満ち溢れた洒脱な脚本、そして涙ほろりのスパイスは勿論ふんだんに。出会うはずのないフィリップとドリスが二人とひとつの車椅子で最強のメロディーを奏でる。
そう、人は本当に見かけだけではない、見かけや評判に騙されるな!というお約束の展開ではあるんだけれど。全身麻痺だからといって何もかもが不自由な訳ではないし、スラム街のごろつきだからって物の価値を知らない訳じゃない。ある意味痛快な、フランスらしいウィットに富んだ作品でした。
(2012年洋画)
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