
もう、B級です。よくできたB級。コピーに惑わされてはいけない。いや、ある意味コピーは正しいのだけど。
ニューヨークが崩壊して9人が生き残った。何ら間違いではない。しかし、何故ニューヨークが崩壊したのか、崩壊させた犯人は誰なのか、何を目的に恐ろしい事が行われているのか、そんな疑問に対する回答は一切無し。原因があって彼らは閉じ込められている筈なのだが。

この作品が描いているものは、閉鎖的空間に閉じ込められた未来のない人間が、いかに本能や本性をぶつけ合うか、サバイブするためにどんな事をするのか、そんな事である。で、実は意外とリアル。ヒロインに色気が全くない所まで。
そういった意味では、もう全く救いがない。人間の、というか、昔々原始の何もなかった頃の、動物としての生き残りを賭けたような。嫌な部分を見せつけられて、ダウナーになる。
そしてラスト、脱出したヒロインの歩くかつて繁栄していたニューヨークは、全くの死の町、瓦礫と浮遊する灰の町、という描写も。救いがなくて、むしろ私は好きだけど。

だけど、石の町ドレスデンで、空襲で閉じ込められた人々が、次々窒息死したことを考えると、この作品の彼らが閉じ込められたあの空間、空気大丈夫だったんでしょうか?っていうか、空気が通る場所があるなら、そこから脱出方法考えられるんじゃない?まさか空気が通るのはトイレの穴だけじゃないよね?
…とか、くだらない事をマジで考えてしまったのでした。
(2012年洋画)