
主演ニコラス・ツェー、準主演ニック・チョン、監督ダンテ・ラム…香港映画好きには堪らないラインナップ。
あの「密告・者」のダンテ・ラムが同じキャストを主役に据えて…というのはちょっと間違い。何故なら、日本公開こそこの「ビースト・ストーカー/証人」が後だったけれど、そもそもこの作品が本国で大ヒットしたことにより、同じ監督と主演俳優で「密告・者」が製作されたのだから。
能書きはいいとして、香港映画らしい、めくるめくスピード感、泥臭い人間模様が、好きな私にはこたえられない。ニコラス・ツェーもニック・チョンも、どんな役でもこなせる俳優なのだ、と再認識。いや、お見それしました。
以下ネタバレありです。

犯罪組織を検挙するため日々活動する、刑事トン(ニコラス・ツェー)をキャプテンとした警察チーム。トンは自分に厳しく他人にも厳しい直情型の上司。その強引なチームの率い方には、色々と問題も孕んでいた。ある日、重犯罪者を壮絶なカーチェイスの上で追い込んで検挙したトンは、偶然にも犯人が逃走に使った車のトランクに閉じ込められていた少女を誤って射殺してしまう。それとは知らずに外から車に銃弾の雨を降らせた結果である。
心の傷が癒えずに街を彷徨うトン。かつての仲間たちはチームを解散してそれぞれの持ち場に配属されているが、望みどおりの進路に就いた者は少ない。
死んでしまった少女は、犯人を裁く女性検事アン(チャン・ジンチュー)の娘であった。悲嘆に暮れながらも公正な裁きをしようと努めるアン。しかし、犯人組織により、更に末娘を誘拐され、アンは非情な決断を迫られる。娘の安全を取って証拠を隠滅するか、職務を正しく貫くか…?
末娘を誘拐したのは、犯罪組織から常に殺しなどを請け負ってきたホン(ニック・チョン)。名うての元ボクサーで、驚異的な肉体と技術を併せ持ったプロである。彼には植物状態の妻がいて、自らも目を悪くしていて失明寸前の状態である。彼は、トンの目の前で末娘を誘拐した。犯人探しと、追跡の壮絶な戦い。トン対ホンの凄まじいガチンコ。果たして娘は無事に救出されるのか…?アンは犯罪者のボスを正しく裁けるのか…?

興味はそれだけではない。失明寸前で灰色の瞳をしたトン、その妻が何故植物状態になってしまったのか?そんな謎めいたシチュエーションも、ラストで符合がぱたぱたと合っていく絶妙な手法。
人物描写も又丁寧で、強引で俺様だったトンが命を賭けて(捨て鉢と言えるほど)誘拐された少女と犯人を追跡していく心の変遷、無機質な殺人マシーンのように見えるホンの隠された真実、老練刑事リウ・カイチーの人柄、かつてのチームの人間模様、などなど、魅力は尽きない。
正に、香港ノワールの粋を極めた作品である。
(2012年アジア映画)
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