
恥ずかしながら、初めて瀬戸内海の風景をリアルで見たのは社会人になってからです。ゆっくりと着陸しようとする飛行機の窓から見れば、午後の柔らかい日差しが島々を照らし、思わず「大和しうるわし」と呟いてしまいました。「大和」でないことは百も承知ですが。青垣がたたなづんでいるのを間近で見た訳でもないのですが。けれど、イザナギとイザナミが矛の先からぽたぽたと垂らした雫が島になっている、そんな風景が眼下に広がり、「国のまほろば」とはここの場所ではないだろうか?と思った次第です。
そして今回観に行ったこの「ももへの手紙」。

はっきり言って邦画及びアニメを舐めていました。本当にすみません、と頭を下げてしまいます。心を洗われる珠玉の作品。私自身がももでもあり、母でもあり、父でもある、全ての登場人物が愛おしくなる作品。勿論、妖怪のイワ・カワ・マメの3人(?)も愛おしくなる作品。
あの、私が思うまほろばの島々で展開される、古き良き妖怪達の想念術。
突然に父を亡くした12歳のももは、東京から母と二人で母の故郷のこの地に越してくるのだが、父親を失った心の穴は、単に物理的にいない、ということだけではなく、あの日、自ら父親に言ってしまった事に関する後悔の念と、父が最後に自分に宛てた、宛名だけの手紙の結文が知りたいと言う欲求とで、嵐が吹き荒む状態だった。そんなももの日常を見守る役を負った守護神、というか、妖怪達、イワ・カワ・マメ。妖怪だけに、決して天使のように優しく見守ってくれるのではなく、おまけにいたずら好きで食いしん坊。そして、このイワ・カワ・マメ、本来は人間には見えないはずなのに、何故かももにだけは見えてしまう。
瀬戸内海の島での生活、美しい写実的なアニメーション。ゆらゆらと揺れる波。細い路地の描写。繊細で素晴らしい!小学6年生で知り合いの誰もいない小島に来てしまったももの気持ち。夫を亡くして気丈に振舞う母の気持ち。余計な説明は無いが、きちんと描けている。

ラストの台風のクライマックスまで、感動で手を握り締めながら観ていました。溢れ出る涙を拭うことができない。反抗期の長男も、今回ばかりは醒めた表情をせず、斜に構えることもせず、じっと見入っていました。「正直こんなに面白いと思わなかった。観る前は、途中で寝ようと思っていたのだけれど。」と。次男と私は一緒のシーンで涙したよ。心が洗われる時間を本当にありがとう、と言いたい作品でした。
(2012年邦画)
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