
久々に「…つまんなかった…」と思える作品でした。
いやー、もう、B級でしょう。いや、B級というのともちょっと違う、雑でムラがあって、なんというか高揚感がない。昨日試写会で観ましたが、ゲストに(私は別に呼んでないのに(笑))来た鈴木奈々、あなたは本当にこの作品観ましたか?キミのくっだらない恋愛話を無理やり聞かされた30分を返して欲しい。久々にムカついたゲストだった。…本論からはずれてしまいましたが…。
たまに光るシーンはあるのだけれど。ライアン・フィリップと50セントの追いかけっことか、刑務所での父親シーンとか。でも、そこここに、どこかのハードボイルドのパクリを入れてきて、それがキャラと合わないもんだから悲惨な結果になっている。ブルース・ウィリスが残虐なギャングのボス役で出てきているのだけれど、これも配役の唐突感が否めない。
でも、つい3日前まで、息子の地理の勉強に付き合って、アメリカ合衆国の工業についておさらいしたりしたのだけれど、この作品の背景に、私の持っている今のデトロイトの雰囲気がすごく良く出ていて、そこは良かったと思います。デトロイトってあんな感じ。行ったことないけど。デトロイトに生きるワルってたぶんあんな感じ。
ぼろぼろのポンティアティックを未だに乗り回しているのも、いかにも、という感じ。「8Miles」の頃からデトロイトは私にとってそんなイメージで、それが10年近く経った今、緩やかに衰退の雰囲気を漂わす、そのテイストは好きでした。

何故?と思う内容があまりにも多過ぎて。そしてその答えは作中では決して返されない。
1.何故ライアン・フィリップの父親は刑務所の中であんなに敵が多いの?→答え無し。
2.何故小さい頃から親友だった筈のライアン・フィリップの情婦について、50セントはその存在を知らなかったの?→答え無し。
3.何故その情婦のことをライアン・フィリップは「家族」と呼んだの?→答え無し。
4.何故少しの事で相手を拷問死させちゃうボス、ブルース・ウィリスは、自分のお金を持ち逃げしたかもしれない50セントを生かしておくの?→意図はあったかもしれないけど、作中では読み取れず。
もう、半端なくほったらかし。だから一層継ぎはぎ感が募る。
そして…大好きなライアン・フィリップの来し方行く末が、哀しくて哀しくて。あーんないい男だったのに、フツーのチンケな男になっちゃって。鈴木奈々に盗られた時間ともども、私の気持ちを返して欲しい。
(2012年洋画)